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へそ曲がりセブ島暮らし2020年 その(24) 安倍はようやく辞めたが何も変わらない

 政変、任期満了、病気などでその座を辞す政治家で、惜しまれて去らざるを得ない政治家というのは中にはあるだろうが、多分少ないのではないか。

 

【コロナ感染者が東南アジア最多という中ではこういった光景は見られない】

 

 去った時点では盲目的な感傷が独り歩きして好意的ではあるが、その評価は後世に定まるものであり、その場合、点は辛く批判的になり勝ちだが、批判的であることによって都合の良い歴史になることを抑制出来る。

 日本の安倍が8月28日(金曜日)に首相の座を辞めることを表明したが、その理由は『持病の悪化』と述べていて、病気を理由にする日本の首相の辞職は珍しくなく、安倍は戦後の首相の中では5人目となった。

 やむを得ぬ病気で辞めたのだから『国民も政治家もご苦労様ぐらいいったらどうだ』と、早速便乗したのは『巧言令色仁なし』を地で行く大阪の橋下だが、こういう輩が捏造した都合の良い歴史を生むのではないか。

 

 健康問題に対しては誰しも気の毒とは思っても、政治的立ち位置については批判、称賛双方があって当然で、上から一律に『敬え』というのはお門違いで、首相にしたい人物としての人気投票で名前の挙がる橋下の下心が見え見えであった。

 

 安倍は首相の座は降りても議員は続けるといっているが、この際、キッパリと政界から引退した方が清く評価も高まると思うが、岸、佐藤、安倍と山口県の政治屋一族の家業からは足を洗うのは無理なのであろう。

 

 安倍は歴代最長の首相在任期間という記録を持って幕を引いたが、大叔父である佐藤栄作の在任期間を抜く記録を達成した数日後の辞任表明で、この辺りに安倍の性格が現れている。

 それにしても安倍の8年近くの在任、来年まで任期を全うしたら9年になっていかにも長過ぎで、『権力は腐敗する』を地で行くような政権運営で終わった。

 

 この任期について、本来の自民党総裁は3年2期連続6年までとなっていたのに、お手盛りで3期9年にしたのは権力の座に居座る連中のやる手で、その点ではロシアの独裁者プーチンが永久的に最高権力者に君臨出来るようにしたのと同じである。

 先述したが権力の座に長く居ると腐敗するのは古今東西の歴史に嫌というほどあり、フィリピンで欲しいままにしている独裁者の異名を持つドゥテルテ大統領でも1期6年しか大統領職に座れず、これは20年に渡ったマルコスの長期独裁政権の教訓として学んだものになる。

 

 安倍の評価はこれから定まるであろうが、少なくても国民に目を向けていなかったのは確かで、選挙の時だけ大袈裟、巧妙なキャッチコピーを打ち出して票を集めたが、それに騙されて票を入れる日本人もおかしい。

 

 安倍が最初に首相になった2006年、小生は中米ホンジュラスに渡る直前で、日本の高速バスの中のテレビで誕生の様子を眺めていたが、それがホンジュラス滞在中、僅か1年で政権を放り出すなど思いもしなかったし関心もなかった。

 

 ところが2008年によもやの復活を遂げ、首相の座に就き当時は敗者復活として評価されたものだが、この雌伏していた期間に安倍はどうやって権力を維持するか学んだようで、この指南役が広告最大手の電通ではないかと思っている。

 

 政策にしても選挙にしても広告コピーと同じ手法を使った広告戦略の応用で、安倍は基盤を拡大し固めたと見て良く、それが政府事業の電通への莫大な予算執行に繋がっていると見て良く持ちつ持たれつの関係は間違いない。

 

 安倍の辞任会見で原稿を持たずに話していたが、安倍の語る言葉というのは原稿通りで、しかもプロンプターというカンニング装置を使っているのがほとんどで、この点からも安倍というのは自分の言葉を持たない人物と見る。

 

 その地が出るのは野党から追及された国会答弁で、ムキになって反論するなど滑稽な場面は多かったが、どう見ても人間的な品格はなく、この人物は本の一冊でも読んでいるのだろうかと感じた。

 

 国会答弁にしてもまともに答えることはなく、無視、はぐらかす、とぼけるなどこれで恥ずかしくないのかと思ったが、政府の体質そのものがそうなっているから野党側も追及の仕様がない。

 

 安倍の疑惑で、『もりかけ桜』という言葉があり、何れも疑惑どころか完全に安倍の私物化によった事件なのは明らかで、安倍自身は政権の私物化はないと断言しているが、私物化している人間は自身の姿は見えない、分からないもので打ち消しても弱い。

 

 安倍は成蹊大学出身で、この大学のヨット部に『桃李』と名付けたクルーザーがあって、小生などレース時にその艇を見て変わった名前だなと思っていたが、ある時その命名の由来を知った。

 

 司馬遷が史記の中で『桃李不言下自成蹊』と記し、その意は『桃や李は、人格のある人の例えで、そういう徳のある人には、その徳を慕って人々が集まる』で、そこから大学名に成蹊と名付け、クルーザーの名前が『桃李』となった。

 

 その意味では安倍は長期政権を布いたが、徳を慕って人々が集まったとは思えず、権力という蜜に群がった政財官の人材を、上手い具合に使っていた、使われていたと見るべきではないか。

 

 もう一つ安倍に贈りたい桃李に因んだ言葉としては『瓜田不納履、李下不正冠』というのがあり、この意味は『瓜の畑の中で靴を履き直すと瓜を盗むと疑われ、李の木の下で冠を被り直せば李を盗むと疑われる』であり、意は疑いをかけられるような行いは慎めということだが、『もりかけ桜』疑惑で逃げた安倍にはドンピシャの言葉である。


 

author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし 2020, 18:56
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台湾一周 鉄道旅 2020 その(82) 急な山腹を走り抜けて黄昏直前の九份に到着

【写真−1 植民地時代のトンネル】

 

 バスは基隆の住宅地の谷間を縫う細い道をジグザグに駆け上がるが、途中写真−1の鉄道トンネルの横を通る。この辺りの山は日本の植民地時代に石炭や金を掘っていた歴史があり、それを運んだ平渓線という路線があり今はその路線が観光名所となっている。

 

【写真−2 かなり急な山が海に迫っているのが分かる】

 

 谷間を抜けると写真−2の光景が眼下に広がり、かなり高度を上げたことが分かる。遠くに見える入り江の港は基隆港かと思ったが、基隆港は入り江をいくつも超えた向こう側にあり、この辺りの入り江は船が接岸されているように港に適した地形と分かる。

 

【写真−3 この辺りは観光客を当て込んだ街区で新しい】

 

 基隆を出たバスは40分程で九份に到着。写真−3は停留所から海側を見た様子で、斜面を利用してレストランなどが建ってケバケバしい感じ。九份は戦前から金山で栄えた街で、1971年に閉鎖されてからは寂れたが、映画のロケにより1990年代に復活。

 

【写真−4 中央の路地に人は吸い込まれるように向かう】

 

 現在、九份は台北からも近いために台湾でも有数な観光地となっていて、写真−4の中心に見えるセブンイレブンの右側にある路地から九份巡りは始まるが、陽が落ちると共に観光客は増え、特に事前の知識もないので路地から路地へと当てずっぽうに歩く。

 

【写真−5 まだ時間的には早くやがて肩をすれ違うような混雑になる】

 

路地は写真−5のように両側に店が並び、夜市の恒常版といった感じ。九份の特徴は赤い提灯が軒先に吊り下げられていることで、日が落ちると共に情緒を醸し出す。右側の店に『芋圓』と書かれているが、これは九份名物の芋から作った団子の甘いデザート。

 

【写真−6 何を食べようかと店先を覗き込むのも旅行の楽しみである】

 

 写真−6は麺の中に魚肉を揚げた具を入れて食べさせる店。こうやって店先で調理して客の食欲をそそっているが、値段は200円に満たない、気軽に小腹を満たす店で、こういった店が土産品店の間、間に連なり、どこも客で賑わっていた。

 


 

author:cebushima, category:台湾一周鉄道旅 2020, 19:09
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フィリピン・よもやま帖 2020 その−(11) かくも長き電話線の不通−インターネット時代の不都合な事故

 フィリピンの固定電話インフラは『PLDT=Philippines Long Distance Telephone=フィリピン長距離電話会社』という1社が昔から独占状態で、そのため横柄、サービスの悪さは昔から有名で今も変わっていない。

【電柱の下の丸い物は電気メーター】
 

 通信事業は時の政権と密接な関係があり、その経営は日本のNTTで分かるように国有から民営へと変遷するが、PLDTの場合は戦前からアメリカの影響下で始まり、マルコス独裁下で国有化されるが、その核はマルコス取り巻き政商が握っていた。

 

 マルコス政権崩壊後にPLDTは民営化されるが、現在の資本は外国の投資会社が大株主に名を連ねて、中でも日本のNTTグループが40%を超える株を所有しているのが目を引き、多少は日本的サービスの影響でもあるのかと思うが、そういったものは全くない。

 

 フィリピンは会社を興す場合、外国資本は50%を超えてはいけない制限があり、そういった中で日本のNTTが40%以上の株式を所有しているのは驚きで、何か両国の間に旨味でもあるのであろうか。


 フィリピンの電話事業はその後携帯電話事業が勃興し、日本でもNTT以下いくつもの民間会社が鎬を削っているが、その在り方は競争とは名のみの談合同然で携帯通信料金など世界的に見てもかなり高く、政府が電話料金を下げろと口を出して2年も経っているのに下がず、どちらもその気のないのは一目瞭然。

 これは事業会社が寡占状態に胡坐をかき、通信族議員には充分政治献金手当をしているために動かず、最近1社を増えるようにしたが後発のためか思うように事業が展開出来ていないし、増えたといって通信料金が下がるなど見込みは薄い。

 フィリピンの場合、携帯電話事業は現在2社しかなくて、その1社がPLDT傘下の『スマート』、もう1社はアヤラという昔からのスペイン系財閥が傘下にする『グローブ』で、人口一億人を遥かに超える国としてはもう何社かあった方が適正と誰でも思う。

 そこで、第3の携帯電話会社が政府の認可を受けて最近発足したが、この会社、現在の大統領ドゥテルテの本拠地ミンダナオ島ダヴァオ市を中心に事業を拡大し、2016年大統領選に出て泡沫候補といわれたドゥテルテを資金面で支えた新興の中国系経済人がオーナーである。

 公には入札で第3の携帯会社の権利を得たとはなってはいるが、実際は他の応札はダミーで、最初からこの会社に落札するようになっていて、これは大統領選当選支援の見返りであり、こうまであからさまにやってしまい、問題にならないことがフィリピンらしいといえばフィリピンらしい。

 

 さて、拙文を読まれている方はお気づきと思うがHPの更新が8月20日から27日までなされていなくて、その原因は20日、突然電話が不通になったことから始まった。

 直接にはインターネットが使えなくなったためだが、拙宅のインターネット接続はPLDTの固定電話ラインを使用していて、雨の日が続くと電話回線に雨でも侵入するのか速度が遅くなったり短時間繋がらないことは珍しくなかった。

 

 今回も、いつもの故障かと思っていたがなかなか復帰せず、その原因がようやく知ることが出来たのは拙宅近くにあるPLDTの回線が何らかの原因で焼損した情報が伝わって来たためである。

 

 その焼け方は現場の写真を見ると、電柱に何百本も張り巡らされた電話線が中継器と共に焼け落ちていてチョッとやソッとの事故でないと分かるが、その内修理されるだろうと思っていた。

 

 写真は近所の路地にある電柱を写したものだが、電気線、電話線、ケーブルテレビ線などごちゃ混ぜに張り巡らされていて、これなどかなりスッキリしていて場所によっては様々な線が絡み合うようにあり、これをこちらでは『スパゲッティ』と呼んでいる。

 

 この『スパゲッティ』状態から勝手に電気を引いてしまう『盗電』行為は絶えなく、フィリピンの電気料金がアジアで割高なのはこの盗電で失う金額を正規で支払う消費者に転嫁しているためと嘘のような話が最もらしく語られる。

 

 この盗電、家を借りる時はその家の電気メーターが確実に本線と繋がれているのを確認することが必要で、中には大家の棟に繋がれていて、知らずに大家の分まで支払っていたなどという話はいくらでもある。

 

 小生の日本人知人もその手に引っかかっていた口で、電気線どころか水道管も繋がれていて両方払っていた間抜けさだが、そういうことがないと思っている外国人を騙すには簡単で、外国人が家を借りる時は注意が必要である。

 さて、これを書いている29日現在、電話線の復旧は未だならず治す気があるのかと憤るが、個人は勿論、固定電話を使う事業所など大変な影響を受け損害と思うが、通信手段は携帯電話を主流になっているので社会的不安、不満は起きていない。

 

 あまり長くインターネットが使えないので、他の家に置いてあった定額制のWiFi機器を持って来て何とかインターネット環境を作ったが、そのスピードが恐ろしく遅く、1990年代並み。

 

 遅いのは利用者が集中する時間帯で、夜中や早朝はまあまあの速度で繋がるから、これは回線を同時に使用するためから来るもので、一昔前のインターネット環境かと驚く。

 

 そういえばフィリピンに携帯電話が普及し始めた1990年代初め、携帯電話をかけても呼び出し音が鳴るだけで繋がらないことが多く、これはやはり携帯電話回線の容量を超える利用者が多いためで、携帯電話会社は設備以上に携帯電話を売ったと時の政府に指弾されたのを思い出した。

 

 その後、改善されたのかそういうことはなくなったが、あらかじめ分かっていることを平気でやるのがフィリピンの企業体質で、今回のPLDTの電話線焼損も何れこういうことがあることが分かっていても何もしなかったことから来ているもので、相変わらずこの国はと思っている。

 


 

author:cebushima, category:フィリピン・よもやま帖 2020, 21:49
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