RSS | ATOM | SEARCH
新幹線全線乗車の旅(ジャパンレイルパス) 2019年 その(1) 東京駅から北海道新幹線の函館北斗駅へ

【写真−1 パスポートと同じ大きさで裏面に名前、国籍を記載】

 

 訪日外国人向けに『ジャパンレイルパス』という、JRの全路線が乗り放題の周遊券が発売されていて、写真−1はその表紙になる。海外に居住している日本人でも10年以上の証明があれば購入できるので、今回この周遊券を使って急ぎ足の日本旅行を敢行。

 

【写真−2 7日間、新幹線グリーン車利用で4万円とはJRも赤字必至】

 

 フィリピンの旅行代理店で購入したのが7日間、グリーン車用で4万円弱。写真−2はそのパスの内側の記載で、外国人向けなので全部英文。新幹線を含めてJR全線乗り放題といっても、いくつか乗れない新幹線列車もあるが新幹線全線を乗るには充分。

 

【写真−3 東京駅近辺は高層化が進み景観は悪くなった】

 

 ジャパンレイルパス購入には日本の在外公館の在留証明が必要で、セブの領事事務所へ在留証明の申請に行ったら無料で発行してくれた。写真−3は後日写した出発駅の東京駅丸の内側の様子だが、天皇即位の馬鹿騒ぎが嫌で日本へは時期をずらして入る。

 

【写真−4 飛行機と違って1分前に来ても乗車は可能が鉄道の強味】

 

 北海道新幹線、東京−函館北斗間に乗る列車がホームの電光掲示板に写真−4のように掲示される。津軽海峡の先の北海道に列車に乗ったままで行けることと、所要時間が4時間を切るのに驚く。昔、自転車で何日もかけて北海道へ渡ったことを想い出す。

 

【写真−5 流線形も結構だが初期の東海道新幹線を走ったタイプが懐かしい】

 

 写真−5の左側が今回乗る北海道新幹線のペリカンの嘴状の『はやぶさ』。右側の列車はどこを走るのか分からないが桜色の線が入っているので九州新幹線を走る『さくら』か。鉄道に乗るのは好きだが、車両のタイプがどうのこうのというのには興味はない。

 

【写真−6 景色を眺めるためと写真を撮るために常に窓側の席を確保する】

 

 ジャパンレイルパスのグリーン用でも席を保証していないので、いちいち乗車する列車の席を確保する必要がある。写真−6はその指定席券で、上野駅でセブで購入した引換証をパスに交換したその時に取得。以降、前日に指定席券を予約しながら旅を続ける。

 


 

author:cebushima, category:新幹線全線乗車の旅(ジャパンレイルパス) 2019年, 18:23
-, trackbacks(0), pookmark
へそ曲がりセブ島暮らし2019年 その(49) 台風『ヨランダ』襲来から6年経った

 台風に付ける名称はいくつもあって日本は号数で数えていて、その年の台風がいくつ来たか分かり易いが、2013年11月8日、100年に一度と言われた超台風の『ヨランダ』がフィリピン中部のヴィサヤ地方に襲来してから6年が経った。

【写真−1 ここで用意されても被害地へ移送する手段の問題があった】

 

 ヨランダはフィリピン側が名付けたもので、アメリカに倣って台風には女性名を採用しているが、ヨランダという名前を持つ女性はフィリピンでは珍しくなく、今もヨランダと呼ばれるとバツの悪い感じを持つ人も多い。

 

 このヨランダ、日本では台風30号と呼ばれ、30号台に達するこの年は台風の多い年と分かり、アジア名では中国が命名し『HAIYAN』となっていて、この意味は『海燕』を指している。
 

 このヨランダのフィリピンの被害だが、死者・行方不明8000人近くを数え、負傷者及び全壊半壊の家屋は無数で、レイテ島、サマール島、セブ島北部地域の被害は甚大であった。

 

 ヨランダは100年に一度の超台風と先述したが、132年前の1881年にフィリピン史上最大の死者を生じた超台風『HAIPHONG』が襲っていて、この時のフィリピンの死者数は1万人を数えたから家屋などの物的被害は想像を絶する規模になっている。

 

 1881年のこの台風はフィリピンのルソン島中部東海岸で発生し、南シナ海を横断し中国の海南島に達してから大陸の沿海部を縦断し、朝鮮半島を横断し日本に達するコースを取っていて、死者数は30万人という。

 

 セブ島のヨランダ被害は北部地域が酷く、小生の住むセブ市街地は襲来当日には激しい雨に見舞われたが、舗道を歩く人もいていつもより強い雨が降っているという感じであった。

 

 それが、時間が経つ内にセブ島北部からレイテ島にかけて甚大な被害を受けたことが伝わり、各種の支援活動が始動し、小生もセブ市に隣接する市の救援センターで救援物資を詰める作業に参加する。

 

 写真−1はその救援センター内部で作業する様子だが、この場所はアロヨ政権時代にセブで開かれた国際会議のために造られた施設だが、国際会議が終わったらほとんど使われず典型的な税金の無駄遣い施設。

 

 この時、救援物資のことを『リリーフ・グッズ』ということを知るが、黙々と作業する多くのボランティアが作業する様子は、キリスト教の慈善精神が息づいていることを現している。

 

【写真−2 あれから大きな台風は来ていないが油断は禁物】

 

 その後、被害の大きかったセブ島北部の町で、日本のNGOの協力を得て炊き出し支援を行い、写真−2はその時の様子でテントの中で食事をしているが、写真に写っている子ども達も大きい子は中学生になっていて、その時の活動を覚えているかどうか。

 

 ヨランダの過ぎた北部は椰子の樹の頭頂部は吹き飛び、バナナの樹はなぎ倒され他の木々の枝や葉も飛ばされて丸坊主になって見通しは良くなったが、木影が消えて、昼間の気温はかなり暑くなり過ごし難かった。

 

 そういった野山の樹々と椰子の樹は6年も経った今は見事に復活し、以前以上に緑を茂らせ熱帯に近いフィリピンの自然の逞しさを感じさせてくれる。

 

【写真−3 日本の自衛隊活動は他国の軍隊と比べて下手】

 

 ヨランダ襲来後に日本を含めた各国の軍隊やNGO組織が被害地に入り、支援活動を始めるがその活動は『物のばらまき』が多く、被災直後は物の援助は必要ではあっても、被害地に住まざるを得ない被災民にとってはもう少し長期的な援助が欲しかった。

 

 日本のNGOも派手に活動していたが、日本で得た資金を物に変えて配っているのが実態で、結局長続きせずNGOの活動宣伝が目的と化して、本当に被災者に寄り添っているのかと疑問を感じた。

 

 写真−3はセブ島北部の町で救援活動に入った日本の自衛隊の医療救援拠点で、軍隊からのイメージは昼夜兼行の支援活動と思うが、写真を撮った時は自衛隊員の姿は見えず、日本から同行した報道関係の人間が数人いた。

 

 報道記者はセブ島内の自衛隊の活動を伝えるために同行しているようだが、事実を本当に書いているか疑問で自衛隊の附属広報班のような感じさえ受けた。

 

 自衛隊はレイテ島に最新式の上陸用舟艇を使い、実質晸な航空母艦である『加賀』もレイテ島沖に姿を現したように陸海空こぞって支援に入ったが、これは台風支援に名を借りた『上陸演習』作戦でしかない。

 

 憲法上、海外に出せない日本の自衛隊だが既に『人道』の名の基に世界中に派遣されていて、これを海外派兵と言うが、軍隊は人道では動かず『作戦』で動くのが基本だから、自衛隊は災害支援の名を借りて敵前上陸の作戦を遂行しているといっても過言ではない。

 

 写真の町での自衛隊の活動だが、隊員は現地に常駐せず便利なセブ市から車で通ったらしく、そういった実態は報道されていないし、政府の御用報道陣にはその気もないであろう。

 

【写真−4 この原野に569戸の再定住用住宅が造られている】

 

 さて6年経って被害地は復興したと思われるが、写真−4のようにセブ島ではまだ被災者用の住宅が建設されていて、その遅れに対して改めて批判が集まっている。

 

 被災者用の再定住用住宅は20万戸が必要と見積もられ、2017年までは完成させると政府は表明していたが、2016年に現在の大統領ドゥテルテが就任してからも進まず政府発表でも3割以上が完成していない。

 

 写真−4はその再定住用住宅の一つだが、この場所は写真で見ても分かるように周りはサトウキビ畑に囲まれ、人家もまばらで到底人間が住めるような環境ではなく、どうしてこんな場所に家を造ったのか理解に苦しむ。

 

 計画を進めた役人は自分が住む訳ではなく他人事、単に目標数を達成できれば良いと思ってこのような僻地に建てたとしか思えず、再定住地とはいえ仕事を持つ人にはとても移れない。

 こういった箱さえ造ってしまえば住宅難のフィリピンでは埋まると読んでいるらしく、このセブの場所だけではなくレイテ島など他の地域でも同じ問題も起きているが、未曽有の台風も6年も経つと人々の記憶から薄れ、こういった問題に無関心になるようだ。



 

author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし 2019, 21:07
-, trackbacks(0), pookmark
フィリピン・よもやま帖 2019 その−(15) ミンダナオ島南部地震で分かるフィリピンの建築の危なさ

 10月29日と31日にミンダナオ島南部で地震があり、死者21人、行方不明者2人、負傷者424人の大きな人的被害を受けた。

【写真−1 容積率などお構いなしに敷地一杯に建てられる】

 この被害の中で驚かされるのは公的発表による全壊家屋2万戸以上という数字で、半壊や一部損壊を含めれば地震で被害を受けた戸数はこの何倍にもなるのではないか。

 こう書くと、強震か烈震クラスの強烈な地震が一帯を襲ったかのような印象を持つが、最初の地震はマグニチュード(M)6.6、次の地震はM6.5と観測された。

 

 これを分かり易い『震度』に置き換えてみると、この震度という基準も国や組織によってマチマチで数値がかなり違っていて混乱するが、ここでは日本の気象庁が発表している震度を参考にする。

 

 それによると、今回のミンダナオ島南部地震はフィリピンでは震度6と発表されたが、日本の気象庁震度に換算すると震度4の中震であり、震度4というのは地震大国日本ではいつもあるチョッと強い地震である。

 

 震度4は屋内では睡眠中のほとんどの人が目を覚まして身の危険を感じ、重心の高い物が落下、ガラスの振動、屋外では電線の揺れがあり、老朽家屋を除き家屋への損傷は起きないとある。

 

 それが冒頭に書いたように大きな被害を生じたのは、フィリピンの建物の造りに耐震性がなかったことと、いい加減な施工が当たり前であったため、被害を受けた人々には言い方は悪いがバラック同然の家屋が多いためから来ている。

 

 特にコンクリート造りのビルが根元から折れているのがあって、こういったビルの被害の様子を見ると、柱や梁に適正な鉄筋が使われていない、あるいは全く入っていない手抜きが多い。

 

 写真−1は今回の地震で市内で4階建てのコンドミニアムの下2階が崩壊した被害を出したダヴァオ市で以前写したもので、恐らくダヴァオ市内では最高の高さになるコンドミニアムで、40階くらいの高層建築になる。

 

 写真を撮った時は躯体工事の真っ最中で、昔の記憶の中のダヴァオ市内は高い建物などなかったが、今年行った時はかなりの高いビルの姿が市内各所に散見された。

 

【写真−2 このいい加減な施工を見ると恐怖以上】

 

 写真−1の高層コンドミニアムを遠くから眺めて、どうもその施工状況に変な感じがしてじっくり見ると、写真−2でその施工のいい加減さがはっきり分かった。

 

 写真−2の柱の部分、2階から3階にかけての柱が2階部分で細くなっていて、特に左から3番目の柱など極端に細くなって3階のスラブに繋がっていて、明らかに施工の欠陥と分かる。

 

 こういった個所は他にもあって、写真の2階から3階のこの部分の柱はデザイン上の問題なのかと好意的に考えてもそれはあり得ず、こういう重大な欠陥をそのまま外部に露出している業者の頭を疑うが、フィリピンではこの程度は何でもないのかも知れない。

 

 こういう欠陥も外装に石を張ったりして綺麗に隠すから分からないだろうと考えているのだろうが、40階にも及ぶ高層ビルの根元のいい加減さを見ると、とても安心して住める物件ではないのは確かである。

 

 先述したように市内で4階建てのコンドミニアムで下2階部分が崩壊したように、フィリピンの鉄筋コンクリート造りの建物に信頼性がないということは前からいわれていたが、今回の地震を機に建築許可の見直しを始めるというが既に遅い。

 

 フィリピンは不動産バブルで各地に高層の商用ビル、コンドミニアムが林立しているが、震度5クラスの地震が来ればマニラ首都圏ではかなりのビルが崩壊すると予測されていて、それはセブでも例外ではない。

 

 教科書で習った『環太平洋火山帯』の縁に位置するフィリピンは火山も多く、当然地震も頻繁にあり、最近でも思い出すのは2013年10月のM7.1を記録したセブ島隣の『ボホール地震』があり、この地震ではボホール島を中心に200人近くが亡くなり、セブでも死者があり、セブの観光名所サント・ニーニョ教会の鐘楼が崩れビルの倒壊もあった。

 

【写真−3 セブ市内のビルだが厚化粧で中味はどうなっているか分からない】

 

 この時、小生は家人と共に郊外の墓地を訪れていて、地震のあった時はボホール島の方角から地面が揺れて伝わったのが分かり、立っているには少し腰を落とす必要があった。

 

 この時、一番心配したのはセブとマクタン島を繋ぐ古い橋で、この橋を架けた日本の技術屋が震度4から5以上の地震があったら橋は崩落する危険が高く、通常でもこの橋は渡らない方が良いと言っていた。

 

 幸いこの橋は崩落せず、今もいつも通り架かっているが、交通渋滞などで新橋を避けて通る時など、やはりその危険性に身構えてしまい、信頼性がないのは確かである。

 

 写真−3は最近写したセブ市内のビジネス中心地で、セブでも一番といわれるショッピング・モールがあり、かつてのゴルフ場後も写真の様にビルが林立し、最近では高層のコンドミニアムが続々と造られている。

 こうして見た目は綺麗でもその骨となる基礎や柱、梁など果たして地震に耐えられるように施工されているかどうか分からず、設計者も施工業者もその時が来てみないと分からず、いざ地震で崩壊したら関係者は『想定外』と言い訳をするのであろう。

 

 セブには50階に達する超高層のコンドミニアムが完成しているが、そういう高い建物に住むにはそれなりの覚悟が必要で、投資だなんだと日本人の小金持ちがこの手のコンドミニアムをフィリピンで購入するのはどうかと思うが、自分で住む訳ではないから良いのであろう。


 

author:cebushima, category:フィリピン・よもやま帖 2019, 20:53
-, trackbacks(0), pookmark