RSS | ATOM | SEARCH
パラワン島紀行 2018年 その(33) 最終回 エル・ニドはどうなるのだろうか

【写真−1】

 

 写真−1はエル・ニドの町から小1時間かけて行く『ナクパン・ビーチ』。ご覧の通りまだ人の手はあまり入っていない。しかし、エル・ニドに近い『リオ・ビーチ』はフィリピン有数の財閥が飛行場込みで開発中。写真の静けさもあとわずかであろうか。

 

【写真−2】

 

 エル・ニドの町の海岸沿いにあるリゾートは写真−2のように擁壁を工事中だが、手前に石が散乱する辺りまで、違法の建造物があった。波打ち際から20m以内は建造物は法律で禁止されているが、フィリピン中のリゾートは違法建築がまかり通っている。

 

【写真−3】

 

 エル・ニドはリゾートの町といっても人口は5万人近い。写真−3は町の中心四つ角の様子で、ここだけを見るとチョッとしたフィリピンの地方都市並みの賑やかさ。時間によっては交通渋滞もあり『地上の楽園』の広告イメージは虚名そのもの。

 

【写真−4】

 

 ただし、沖合に浮かぶ島巡りをすれば印象は良くなるだろうが、どこも観光客で溢れていて静けさにはかなり程遠い。写真−4は島に上陸する時の一枚だが、この一枚は観光公害で閉鎖されたタイの観光地『ピーピー島』を思い出させる。

 

【写真−5】

 

 写真−5は『ラス・カパナス・ビーチ』の夕景で、正面に夕陽が沈む。この日は台風が去った直後なので夕陽は見られなかった。写真−1とこの写真は家人のカメラでパノラマ機構を使って撮影しているが、今はテクニックなど要らず、カメラが全部処理する。

 

【写真−6】

 

 最終日に長期受刑者が働く『イワヒグ刑務所』を訪れ、写真−6の木彫り像を購入。高さは20センチを超える程度だが、昔、アフリカのジンバブエで買った木彫り像と似た雰囲気を持つ。どういう気持ちでこの像を彫ったのだろうかと思うとまた一味違う。

【終わり】

 


 

author:cebushima, category:パラワン島紀行 2018年, 18:22
-, trackbacks(0), pookmark
フィリピン・よもやま帖 2019 その−(7) 教育熱心なフィリピンの教育環境

 フィリピンは呑気な国との印象はあるが日本以上の『学歴社会』で、高学歴でないと就職口は狭まり貧困から抜け出せなくなっている。
 

 

 そのため、貧困の中で喘いでいても親は子どもに最上の教育を受けさせること熱心で、その辺りは日本とも共通しているが、日本は学歴よりも個人の志向を尊重、多様性傾向が強くなり、一時ほど蔓延していた学歴絶対社会ではなくなった。

 学歴よりもその後の就職、どう生きるかが重視されている訳だが、フィリピンの大学の卒業式は6月になっていて、いわゆる新卒がそのまま就職するのは40%前後と見られている。

 しかも大学で学んだ専攻が活かせる意中の職に就けたのは10%程度に過ぎず、この数字を日本に当て嵌めると、日本の大卒者の就職率は90%を超えているはずだからフィリピンの大卒の就職率は日本の半分にも満たない。

 また意中の職に就いたかという数字だが、これは日本の就職率が高率と出ていても、一番で志望した会社に就職できたのはフィリピン並みの割合になるのではないだろうか。

 それでも日本は二番手、三番手志望といってもそれなりの規模と内容を持つので、就職すれば会社に忠誠を尽くす日本人の性格からいって問題は少なかったが、今は新卒で就職してもすぐに転職する時代となり、以前とは様変わりした。

 フィリピンの新卒の就職率が40%と書いたが、せっかく就職出来ても転職するのは日本の比ではなく、かなり数字は高く、その理由で多くを占めるのは給与の不満になる。

 

 フィリピンの法定最低賃金は一番高いマニラ首都圏でも1日500ペソ(約1000円)をいくらか超えた程度で、地方に行くに従ってその額はもっと低くなっていて、これは日本の東京と沖縄の時給がかなり違うのと同じである。

 数字だけを比較すると、日本の1時間の最低時給がフィリピンの1日分ということとなり、実に8倍から10倍の格差があり、この低賃金を狙って日本企業が多数フィリピンに進出していて、資本の論理からいえば批判を受けるものではないが、『搾取』という言葉は消えない。

 ちなみにスターバックスのコーヒーの値段だが、フィリピンは150ペソ以上するから、日給の3分の1にも相当し、日本でいえば一杯2000〜3000円もする値段になるから相当な贅沢品で、普通のフィリピン人には飲めない。

 さて、フィリピンの教育に戻るが、6月からフィリピンの新学年は始まり、教育省によると今年の児童生徒の総数は2781万人余、前年に比べて3%近くの増加となっている。

 フィリピンの総人口は1億500万人を超えているが、児童生徒というと小学校から中学校を指すからこの年代が実に総人口の4分の1近くを占めることになり、65歳以上が4分の1を占めている日本と比較して、いかにフィリピンは若い人の多い国か分かる。

 ただし、これだけ児童生徒数が多いと受け入れる学校側が間に合わず、午前午後に授業を分ける二部制は珍しくなく、教師の数は足らない校舎も足らないと足らないづくしの教育環境で、首都圏にある小学校の在籍者数3000人という数字を聞いた時には驚いた。

 教育熱心なフィリピンと書いたが、この国では教育はビジネスとして捉えられ投資の対象となっているが、同じ経営でも工場経営よりは学校経営の方が社会的な聞こえは良く、そのため正確な数は分からないがフィリピンにはやたら大学が多い。

 セブ市は学生の多い街と知られるが、セブに限らず地方に行くとこんな所にカレッジがあるのかと目を瞠らせるが、そういったカレッジ卒の資格を取っても就職先はなく、今はどうか知らないがお手伝いがカレッジ卒というのは珍しくなかった。

 

 数多ある大学と書いたが、日本でもピンからキリまでの大学があるようにフィリピンも同様で、この国では国立や公立より私大の方がレベルが高いと見られていて、実際そのランクを見るとその通りになっている。

 

 最近、世界の大学をランク付けした結果が発表されたが、国立フィリピン大がフィリピンでは首位、前年384位から356位に上がり、アジアでは72位となった。

 

 フィリピン大は学生数3万8千人を超えるマンモス大学だが、これは国内各地に分校を持っているためで、セブにも分校がある。ただし、国内1位となってもその売り物は法学部の司法試験合格者が多いという程度で、日本の東大ほど有難味はないようだ。

 この司法試験の合格者数でいうと、セブに在るサン・カルロス大学の方が多く、一口に大学といっても学部によって大学間の格差は大きく、一概に国立だからレベルが高いとはならない。

 フィリピン大に続くのは私立のアテネオ大で、学生数1万人弱で601位、アジアで115位となっているが、この大学は前大統領のアキノの母校で、政財界に多くの人材を輩出していて、就職のし易さでは181〜190位と、フィリピン大の301〜500位をはるかに凌いでいる。

 

 これはアテネオ大が金持ち子弟のためにある大学であり、その子弟には親もしくは一族の職場が用意されていて、貧乏人でも学力次第で学べるフィリピン大とは違うということを如実に現している。

 

 3位は同じく私立のデ・ラサール大で学生数3万8千人強で、801〜1000位と前年と変わらず、この大学とアテネオ大はさしずめ日本の早慶に当たるような位置にあるようだ。

 4位にやはり私立のサント・トマス大で学生数3万4千人強で、この大学は建国の父ともいわれるホセ・リサールも学んだ伝統校で、前年と順位は変わらず901〜1000位となった。

 

 こういった名門校を出ても卒業後はコールセンター勤務という例も多く、フィリピンは大学は出たが相変わらず適度な職がないという環境で、これが年間100万人を超す海外で職を求める要因の一つにもなっている。

 

 最後に同大学ランクで1位はマサチューセッツ工科大、2位はスタンフォード大、3位がハーバード大と何れもアメリカが上位を占めていて、選定基準は良く分からないアメリカ優位になっているのは確かである。

 

 一方、日本では旧帝大系が上位を占め、東大が前年の23位から22位へと順位を上げ、京大も前年35位から33位、旧帝大系でない東京工業大が前回と同様の58位、阪大が前年67位から71位、東北大が前年77位から82位となった。


 

author:cebushima, category:フィリピン・よもやま帖 2019, 20:04
-, trackbacks(0), pookmark
へそ曲がりセブ島暮らし2019年 その(28) いよいよ日本は参議院選挙か

 3年に一度の参議院選挙が7月に日本であるが、この選挙周期はフィリピンが今年5月の3年毎に行う全国選挙と同じであることに気が付いた。



 そうすると前回の参議院選挙は2016年であり、泡沫候補であったドゥテルテの当選した年と同じになるが、そうだったのかと思うくらい記憶に残っていない。

 日本の衆議院では会期末になって、安倍内閣の不信任決議が野党から出されたが、採決は予定されたように否決で終わった。

 この不信任動議を巡って、野党側は安倍が『抜き打ち解散』を仕掛けるのではないかと及び腰であったらしいが、それが本当なら野党側も意志が弱過ぎる。

 この総理大臣による解散は総理の権利とされていて、今までにも党利党略で時の総理によって行われてきたが、総理には解散権はないという法律上の指摘もあり、それこそ憲法問題として捉えて良いと思うが。

 衆議院は任期4年で解散在り、参議院は任期6年で解散なしというのを小学校で習わされるが、フィリピンにしてもアメリカにもしても衆議院に当たる下院は任期3年、解散なしとなっている。

 日本の衆議院議員の平均在職年数は3年少々を超えた程度と聞き、それならば解散なしの3年任期にすれば議員も不意の解散に怯えずに仕事ができると思うが、総理の伝家の宝刀になる解散権は手放さないだろうから、無理な話か。

 さて、参議院選挙の公示、投票日などはまだ決定されていないが、いわゆる『在外投票』は公示後数日を経て始まっていて、日本の投票日以前に投票は締め切られている。

 この在外投票、かつては無関心であった小生だが、やはり一票の力は大きいと宗旨替えして数年前に『在外選挙人登録』を行った。

 この登録、在外公館に足を2度も運び、しかも最後の日本の住民票所在地の確認も必要で、その面倒臭さから海外在住有権者は多いのに登録者数は少ないという。

 そうしてせっかく得ても投票率はかなり低く、小生はフィリピンとラオスで在外投票の事務を手伝った経験を持つが、1日に数人、選挙の立会人や事務担当者の数の方が多いなどという日もあった。

 こうなると一票当たりのコストは莫大なものになり、民主主義を貫くには金と手間がかかるとその実態を目の当たりにしてしみじみ思った。

 この民主主義といえば、6月にあった2度の香港のデモはなかなかの壮観、快挙であり歴史に残ると印象付けた。

 デモのコースとなった香港島の公園や道路は、かつて中国で仕事をしていた時に頻繁に歩いた場所で、あの道路が人で埋まってしまうとは『参加人員200万人』もまんざら誇張ではないと感じた。

 この200万人デモに関して、警察発表では34万人となっていて、その数字の開き具合に関心が集まっているが、主催者は多く数字を出し、治安当局は数字を小さく出すのが恒例で正確な数字は一人ひとり数えた訳ではないのでどうとでもなってしまう。

 ただし、専門家がこのデモの人数を検証して50〜80万人ではないかと推定されているが、この手の動員ではないデモは参加者と一緒に歩く人との境目が曖昧で、実数の確定は難しい。

 日本でも機動隊に囲まれてデモが行われている例を見ると隊列は少数でも、それを支援する人々は舗道上で移動していて、その数でも隊列の何倍にもなり、こういった脇の支援者は警察も数えないであろうから、デモの参加人員というのは正確には分からない。

 学生時代に学校から駅に向かってデモがあり、小生は荷物を持って舗道上を歩いたが、肝心のデモ隊列は10数人程度で、周りを機動隊に固められて行進していたが、あの時を思い出すと舗道上で並行して歩いていた人は10倍くらいあった。

 さて香港のデモだが、香港の人口が740万人程度というから、先ほどの専門家の推定数50〜80万人説を取ると、人口の半分は子どもとして370万人になり、それに高齢層を加えると500万人程度は参加出来ない。

 となると、残るのは240万人程度になり、3人に一人、あるいは5人に一人は参加した勘定になり、やはり史上稀に見る大デモであったことは間違いなく、それでなければ、鉄面皮の中国が問題になっている法案をデモ程度では凍結はしないであろう。

 この法案を巡っては西側諸国は『人権』の観点から、物申していたが、何にもしなかったのはいつもの日本で、こういう問題になるとだんまりを決め込むのが日本の外交で、いかにも汚い国の印象を世界中に与えている。

 一方で、G20が大阪で、この週末に開催されるが、議長である安倍は香港の問題など素通り、各国にいい顔をして、直後の参院選に点数稼ぎをしているのはありありで、史上最大の警備体制で大阪には行くなとまでいわれている。

 それが『おもてなし』の一環とは思えないが、日本の蝙蝠のような態度は既に世界から見透かされ、最もトランプと親しいなどと安倍が自称しても、トランプの使い走りとまでいわれていて、こうなると『裸の王様』状態である。

 ともかく選挙に勝てさえば良いという安倍自民党だから、年金問題にしても全て、隠蔽、先送りで、日本には『臭い物に蓋』という諺があるが、これを臆面もなく実行する安倍自民党というのは世も末である。

 こういう程度の低い露骨な指導者を抱く日本も不幸だと思うが、『国民のレベル以上の指導者は生まれない』という言葉があるように、この辺りが日本の限界か。

 


 

author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし 2019, 19:40
-, trackbacks(0), pookmark