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3月31日(日) 曇り、時々晴れ、微風 閑話休題 《 桜咲く=新宿御苑のことなど 》
 明日から4月、今日はまだ3月の内というのに東京の桜は散り始めているという。今日辺りの桜の名所はさぞ花見客でにぎわったと思うが、これを書いている時のセブの気温が31度、対する東京の同時刻では8度となっているからかなり寒い花見になっているのではないか。

 写真は201046日、新宿御苑で撮った。この年の東京の桜の開花は例年並みだったと思うが、今年のように3月中に盛りを過ぎてしまうのは記録的な早さだったのは間違いない。

 写真でも分かるようにまだ人々の服装は冬服から抜け出さず、何となく蹲った感じを持つが、新宿という繁華な場所にこういった一画があるのはなかなか良い物である。

 新宿御苑は門の所にあった看板によると外周
3.5キロ、ゆっくり歩いて小一時間という所か。面積は58.3ヘクタールとあり、1ヘクタールが1万平米、都合583千平米、日本的に坪数でいうと176千坪余、広大な面積の例えに百万坪というが、あの広いと思われる新宿御苑も案外と狭い物だなと数字では感じる。

 新宿御苑の江戸時代は信州高遠藩の下屋敷で、わずか
3万石余の大名でもずいぶん広大な土地を持っていたなと思うが、当時の新宿は江戸の外れ土地などいくらでもあったのだろう。今でも御苑の町名は内藤町でそのいわれも分からない人が多くなっているのではないか。

 その後、皇室の持ち物になって御苑となり戦後開放されるが、皇室の存在云々はともかく宮城にしろここにしろ皇室がここを持っていたから結果的に現在のように残った。いわゆる皇族や大名上がりの華族といった連中の持っていた由緒ある屋敷などは戦後ほとんど民間に買われてしまって、今やホテル(プリンス・ホテルなどほとんどその手)やマンションに化けているから皇室の果たした功罪の功の方は確かにあった。

 日本の学校の入学式は
4月の第1週か第2週の月曜日に行われるが、私の場合、遥かな昔の小学校の入学の様子は良く覚えていて、校門を覆うように満開の桜の樹の枝が伸びていてハラハラと花びらが落ち、子ども心にも何か晴れがましい感じを受けた。

 この小学校も都会地の子ども減少のあおりを受けてずいぶん前に廃校となってしまった。幸い跡地は野原のように災害時の避難場所になり周りには樹も残されているが、その桜も子どもの頃とは違う桜が植えられていて見るからに細い。

 日本では教育改革と称して入学時期を欧米と合わせるために
9月にしようなどと東大を筆頭に画策している動きがある。そんな外枠よりもやっている中身の問題だと思うが、日本人の感性に刷り込まれた桜と入学式の関係はちょっとやそっとでは変えられないのではないか。どうしてもというなら入学などいつでもOK位の度量で当たれば良いことである。

 ちなみにフィリピンの卒業は
3月で日本と同じ、そこから違うのは暑い国なのにもっと暑くなるので夏休みに入り、6月から入学、新学年は始まる。日本よりも海外留学が盛んなこの国で日本のように欧米に合わせて入学時期をずらそうなどとの論議は聞いたことがない。


author:cebushima, category:閑話休題2013年3月, 21:15
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3月30日(土) 晴れ時々曇り、微風 《 今日は『ブラック・サタディー』。中米・ホンジュラスを思い出す 》
 スペイン語では聖週間を『Semana Santa)』というが、2006年から2008年にかけて滞在した中米・ホンジュラスの古都『コマヤグア』では『アルフォンブラ=絨毯』という行事があって、たくさんの写真を撮った。ここに2008年の写真を掲載する。

 



これがアルフォンブラで出来上がった様子。年によって違うが30から50くらいの意匠を凝らした作品が作られる。




 


 こういった型紙を作る事から始まる。テーマはやはりキリストにちなんでいるが、会社や学校、あるいは個人がスポンサーになって作る。










 
手前にあるのがアルフォンブラ作りの材料になる各色に染めた『おが屑』。おが屑はホンジュラス産の松で、ふるいにかけて粒を揃えている。










 
前夜12時過ぎから作業開始。作業前には消防車が来てゴミや砂を吹き飛ばすために放水。アルフォンブラ作りは、男女がおおっぴらに夜中に出られるので作業にかこつけて睦言を交わすカップルも目立つ。








 このグループは白を多用しているが、白いおが屑ではなく石膏を使っている。この他に樹の皮や、細かい鉱石、花びらなどで変わった雰囲気を作っている。










 
 作業も深夜になって佳境。だいぶ疲れの見える人も出てきて、そういう人は脇の舗道でごろ寝。











  夜が白んできた。相当出来上がっているグループもあるし、まだ追い込み中のグループもある。こうやっておが屑を置くのは良いが、風に吹き飛ばされるのではと心配したが、噴霧器で水をかけて湿らせると結構重い。そのために噴霧器係りが付いている。









 夜はドンドン明けていくのに、このグループは間に合うのかと心配するほど進んでいない。まあ何とかなるのがラテン系気質。










 
 夜が明けてしまった。朝日を浴びながら完成を急ぐが、一晩中写真を撮っていた私も朦朧、ピントが合っていない。










 
 作っている人の苦労も知らずに、観客が出来栄えを批評中。
















 
 そうして苦労して作ったアルフォンブラだが、キリスト像を乗せた『ミコシ』がその上を歩く。写真は出発場所の教会前。ミコシは左右20人ずつの計40人で担ぐ。2008年は三角帽子の覆面姿で、見ているだけでも暑そう。









 キリスト像が巡行を始めてもまだ製作中のアルフォンブラ。ここは最も長いアルファンブラで、間に合うのかねと心配顔。











 上のアルフォンブラのある通り。左の建物はカテドラル。この通りで他のミコシが出てきて寸劇が行われる。











 上のアルフォンブラの真夜中の制作状況。後ろにカテドラルが写っている。












 巡行が終わると市の清掃車と清掃人が来て、あっという間にアルフォンブラの残骸は片付けられる。右側の建物は市役所。このおが屑はご利益があるといって持ち帰る人も多く、写真でも子どもが瓶に詰めているのが分かる。






author:cebushima, category:閑話休題2013年3月, 21:12
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3月29日(金) 晴れ、微風 閑話休題 《 2013年の聖週間のことなど 》
  例年なら聖週間は4月に入ってから、特に最終日に当たる日曜日の『復活祭=Easter』は4月と思い込んでいたが、今年の聖週間は早く始まっていて、イースターは331日になっている。

 どうしてその年によって違うのかと調べたら、イースターの定義というのがあってそれによると『春分の日の後の最初の満月の次の日曜日』と回りくどい設定となっている。

 イースターは4月というのは私の勝手な思い込みであって、イースターが3月だった年も結構あって2000年代で2002年、2005年、2008年、そして今年2013年と3年から5年おき位の間隔である。

 この次は
2016年になるがその後は当分3月にはなく、しばらく4月のイースターとなる。ちなみに2008年のイースターが323日で最も早いが、この時私は中米・ホンジュラスの地方都市に滞在中で、その街で恒例の『セマナ・サンタ』行事を堪能したが、それはまた稿を改めて後日書いてみたい。

 フィリピンはカトリックが大多数なので『聖週間=
Holy Week』と呼んでいるがプロテスタントは『受難週』と呼んでいるし、同じキリストを起源にする他の宗派も違う名称を持っているがやっていることは同じ。

 写真はセブ市の外れの山中にある宗教施設で写したが、ここにはキリストの受難を象徴したオブジェが鎮座し、道筋は急な階段があったり、折からの強い日差しもあって年寄りには大変だが、信者はこれを順繰りに巡ってキリストの受難を偲び、復活を祝うが、最終までに
16カ所あり、それぞれ祈りを捧げている。(写真は15番目であと一息)

 普段でも出来るらしいが聖週間中は人と車でごった返し、私のような無信仰な人間にはこういう方法は『四国八十八カ所巡り』と似ているなと思いながら、家人の後を付いて回り写真を撮るだけで終わるが信者にとってはそれなりに真摯な物があるようだ。

 聖週間中は肉食をしないらしいが、本当かなと思って教会敷地内にテント張りで店を出している売店を覗いたら、どこも魚の料理か野菜しか置いてなかった。そういえば道筋で見たフィリピンの大手ハンバーガー・チェーン店も休業していたから肉食をしないのと関係があるかと思ったが、これは帰省する従業員対策の様な気がした。肉食といえば普段は魚しか食べられないから、この日に肉を食べるというセブ近くの島もあるから、まあどうにでも理由は付けられる。

 最近のフィリピンの若い人は宗教離れといわれているが、写真のようなこういった場所に来ると若い人も多く、なかなかフィリピン・カトリックの指導者は頑迷ながら根は強い。

 この聖週間はフィリピン人が長期休暇を取る週でもあり、週の水曜日辺りから帰省ラッシュになり、観光地は賑わい、金のある向きは海外へ旅行する者が多い。そのためこの期間中は街の中に車や人通りが少なくなり、ちょうど日本の正月のように静かになり、気持ちだけ空気が綺麗になったような感じがする。

 また、ガラガラになった家屋を狙って空き巣が横行するのもこの時期で、それに手を焼いた取締り当局が『家を空ける時は近所に頼んでから』と昔の日本のような注意を発出しているが、フィリピンの隣近所は黙っていても濃厚な付き合いと思っていたのに、こういった注意からどうもフィリピンは日本の『無縁社会』に向かっているような兆候を感じる。


author:cebushima, category:閑話休題2013年3月, 21:33
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