RSS | ATOM | SEARCH
1月31日(月) 曇り、軽風 閑話休題 《 楽園は失うから楽園なのでは 》

14年前の光景 サンケイ新聞に面白い連載記事があった。

 『変わりゆくブータン〜桃源郷の今』という表題で筆者はサンケイの記者、14年前のブータンに滞在経験があり、今を報告している。
現在の光景 ブータンは人口70万人に満たない国だが山岳に抱かれた特異な国、習俗を持ち『最後の秘境』などともいわれている。

 ところがこの秘境も近年は開発著しく、その変化を筆者は驚きをもって綴っている。

 写真を2枚並べたが同じ場所の上側が14年前、下側が現在の姿で確かにこの写真を見る限りでは大きな変化がある。というよりあり過ぎる。

 筆者はあらゆる面でブータンが近代の物質に呑み込まれている様子を書くが、その波は誰も止められない。

 多分この記者はかつて協力隊員だった人物と思え、日本がブータンに隊員を派遣したのは1988年からだから時間的に合う。隊員はいわばオブラートに包まれた状態で活動しているから、滞在時代は美しく見えるのも仕方がない。

 日本はブータンへ無償、有償で計400億円以上を援助する最大の国で、以下デンマーク、スイス、オーストリアとヨーロッパの国が関わる。

 この国に旅行することを考えたことがあり、調べたら観光客には鎖国政策を取っていて、1日当たり200ドルの前払い、個人旅行を認めないなど金持ち専用の貧乏旅行者から見ると鼻持ちならない国でもある。

 バックパッカーを入れると国の秩序が乱れるとの考えだろうが、サンケイの記事を読むまでもなくブータンは内部から崩れている。

 以前ブータンは桃源郷といった旅行記を読んだことがあるが、桃源郷の出典は中国・宋時代の詩人『陶淵明』の『桃花源記』からで、内容は偶然仙境に遊んだ人物が再び訪ねたらその場所は見つからなかった。となり、人生の虚しさを書いている。

 その昔から桃源思想は連綿とあったが、いずれも期待に反することばかりで今のブータンにがっかりしても当然の流れではないか。

 四半世紀以上前にアフリカで暮らした経験を持つ私だが、どんな奥地に行ってもTシャツ、Gパン姿で、アフリカ人は腰みの、槍を持って生活しているなど都会人の勝手な思い込みと知ったことがあった。

 もっと昔、1962年封切りの『チコと鮫』という映画を観て、将来南の島で暮らしたいと思ったものだが、そんな楽園などあれは映画の世界であって『楽園は失うから楽園なのだ』と思っている。

 もっともそういった思いが南国フィリピン・セブに住み着く伏線になっているのだろうが。こうやって人間は夢を消耗しながら人生に折り合いを付けて行く。
セブ島工房ロゴ

author:cebushima, category:閑話休題2011年1月, 11:15
-, trackbacks(0), pookmark
1月30日(日) 晴れ、軽風 閑話休題 《 政治が駄目だから、アジア杯のことなど 》
2011年アジア杯出場国 サッカー、アジア杯は日本が優勝した。

 フィリピンは1時間早いので夜11時からの観戦になるが、インターネットの回線接続が調子悪く試合は観ずに寝ていた。

 翌朝結果を知った次第だが、なかなか劇的な結果だったようだ。

 近年の日本はサッカーが人気を集め野球をしのぐような勢いだが、先のW杯で善戦し今回のアジア杯のような好勝負を見せてくれれば人気は黙っていても増える。

 私はサッカー、ラグビー共に競技経験もあるが、今回のアジア杯の存在などようやく知ったような具合だった。

 このアジア杯、結構歴史があって1956年、香港で第1回大会が開催されたのが始まりで、今回のカタール大会は15回目となる。

 第1回、第2回とも決勝は韓国とイスラエルが戦っていて、韓国が連覇している。既にこの時代からアジアの強豪だった韓国だが、2回大会以降は優勝に見放されるが準優勝、3位の回数は非常に多い。

 日本は1992年、日本で開催した10回大会でサウジアラビアを破って初優勝、地元開催だから勝ったのであろう。その後、12回、13回大会に連覇して、今回の優勝で都合4回優勝し参加国で最多優勝回数となった。

 続くのはイランとサウジアラビアの3回となる。こう追って行くと日本はアジアの最強豪に見えるが、このアジア杯出場国通算成績を見ると、1位イラン、2位韓国、3位日本、4位サウジアラビアと続いて行く。

 この順位の算出法は優勝回数だけではなく、出場回数、過去の順位、勝利数などを元にしているが、やはりその力を客観的に物語っているのは得失点差で、強豪は例外もあるがプラスの多いほど上位になっている。

 この大会にはのべ36ヶ国が参加しているが、1回出場のみは上位からビルマ、シンガポール、カンボジア、ヴェトナム、レバノン、トルクメニスタン、バングラデシュとなっている。

 半世紀近い歴史があるので今は消えてしまった南ヴェトナム(2回)、南イエメン(1回)などという国もある。

 この大会に出場していないアジア地域の国は多いが、フィリピンもそこに含まれている。最近、フィリピンのチームが     ASEANの大会で勝ち進んでこちらのテレビが紹介しているが、まだまだレベルは日本の高校生にも劣るのではないか。

 さて、次回アジア杯は2015年、オーストラリアで開かれる。今回の日本チームの活躍は従来粘りの薄い日本がしぶとく勝ち上がったことに価値があるようだ。

 日本の政治が与野党滅茶苦茶な状態となっているのを思うと、黒白がはっきりするスポーツに関心が流れるのは危険でもあるし、仕方がないともいえる。
セブ島工房ロゴ
author:cebushima, category:閑話休題2011年1月, 13:36
-, trackbacks(0), pookmark
フィリピン事件帖 2011 (5) 国軍汚職に見る『泥棒に追い銭』の国
汚職で追及される元国軍参謀総長のレイエス 元フィリピン国軍参謀総長だった写真の人物、Angero Reyes(アンヘロ・レイエス)が汚職容疑で追及されている。

 この人物、エストラーダが大統領時代に国軍(AFP)制服組最高位の参謀総長に任命されたが、エストラーダが汚職で追及された時、エストラーダに弓を引いて失脚のきっかけを作った人物といわれる。

 そのためエストラーダの後を襲ったアロヨに重用され、参謀総長を退いてからアロヨ政権内で2001年〜2003年国防長官、2004年〜2006年内務自治長官、2006年〜2007年環境庁長官、2007年〜2010年エネルギー庁長官を務めた。

 軍人上がりにしてはなかなかの経歴だが実績は全くなく、軍を押さえるための『アロヨの番犬』との評価がある。各職在任中に汚職の疑いは挙がっていたが追及されずノウノウとしていたが、ここに来て議会から汚職追及をされている。

 それによると参謀総長時代に組織的に裏金を作って、その内総額1億ペソを懐に入れていた容疑が出ている。この裏金作りは歴代の軍中枢部で行われトップ以下山分けしていたらしい。

 議会で証言した元中佐など普通の労働者がひと月働いて45,000ペソという時代に、毎月50万ペソの配分があったという。

 こういった軍上層部の構造的汚職は以前から指摘されていたが、前にも書いた国軍購買責任者のガルシア元中将が3億ペソの汚職で逮捕されてから追及が具体的になった。ガルシアは参謀次長として時期がレイエスと重なっている。

 このようにフィリピンは滅茶苦茶な国であるのは誰しも分かりなさけない国であるのは間違いない。

 貧困削減と称して国連や各国がフィリピンに有償、無償で各種の援助を行っているが、その援助も本当に効果的に末端に役立っているのかどうか、誰もいえない弱味がこの国にはある。

 最近でも在比日本大使館がフィリピン国内のNGOや自治体に援助を行っているニュースが頻繁に出る。確か1,000万円までは日本の大使決済で出せると聞いているからその口だと思うが、施設の改築とか台風被害地への援助など、そんなもの汚職蔓延のフィリピン政府の仕事ではないか。

 その資金はレイエスなど歴代の汚職高級軍人達が垣間見せたように、国に寄生する政治屋以下汚職を生業とする連中から回収すればいくらでもあり、それを使ったらどうだと思う。少なくても大使の自己満足で日本の公金を使われたらたまったものではない。

 私は援助の現場を知っている方の人間でその実態、苦労話も良く分かる。それでも今のフィリピンへの援助は『泥棒に追い銭』と思いたくなる。これは途上国と称する国に共通の問題であるが。
セブ島工房ロゴ 
author:cebushima, category:フィリピン事件帖 2011, 11:27
-, trackbacks(0), pookmark