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へそ曲がりセブ島暮らし100景 その30 SRP
 (写真不明)

South Reclamation Projectの頭文字を取って、こちらではSRPと呼んでいる。フィリピンは何でも頭文字で表現する事が多い。
 例えばフィリピン国家警察はPNP、外務省ならDOFと英字で綴ると長いせいもあって万事この調子である

 民間でも会社名などは頭文字でいう方が分かり易いのも多く、あまり略され過ぎて、反対に調べたり訊かないと分からないのもあって何事も良し悪しである。

SRPは直訳すると『南部埋め立て計画』となり、最近埋め立てと付随する縦貫道路がようやく完工した。事業主体はセブ市であるが、日本のODA借款によって事業が進められている。

セブは平地が少なく、市街地のすぐ後ろには山が迫っているので、大きな敷地を求めようとしたら前面の海に眼を付け埋め立てをするしかない。
 このSRP以前にも、セブ市とマンダウエ市にかけて別の埋め立てプロジェクトが10年以上前に終了していて、現在は、大きなデパートが出来たり、ビルが建ち自動車販売業や倉庫も進出し、草ぼうぼうの荒地も少しずつ形が整って来ている。

SRPは2匹目の泥鰌を狙ったものだが、立案段階から将来性が危ぶまれていた。案の定埋め立てが終わっても、当初の工業団地計画など、企業が中国へなびく現在では雲散してしまっている。
 ローンを市当局は日本に返済しなければならないのだが、元々、皮算用で返済計画を作っているものだから、市の財政を圧迫し議会などでも問題になっている。
 今ではセブを牛耳る政治屋一族の市長に、日本は手玉に取られたのではないかとまでいわれている。 

この市長が食わせ者で、この間は『日本人退職者向けの村』をここに作るといい出した。海に面し眺望抜群だが、こんな辺鄙で刑務所なら最適な場所に、誰が住むのかとセブに住む普通の頭を持つフィリピン人と日本人は思っている。
 しかし、小金を持つ馬鹿な日本の老人を騙すにはお手頃なようで、暗躍する日本人も出て来た。

 この間、SRPを縦貫する道路出入り口トンネル工事の建設資金を再度日本から借りるのが決まった。泥縄式で借りる方も借りる方だが、フィリピンでは何でも先にやった方が勝ちで、貸す方の日本のODAも舐められたものだ。
author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし100景, 18:07
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へそ曲がりセブ島暮らし100景 その29 タリサイの樹
タリサイの樹 海岸の砂地にたくましく生えている樹で、写真の樹は高さが2メートルに満たないが、樹によってはひと抱え以上の大木になる。タリサイという命名のいわれは分からないが、タリサイという名前の付いた町や地名が各地にあり、それ程珍しい樹ではない。この樹の特徴は枝が横に横にと張り出す事で、適度に密生した長さ20センチ位の艶やかな楕円型の葉が、強い日差しを遮ってくれる。 
 この樹の下にリクライニング・シートや手編みのハンモックを掛け、潮風に吹かれながら昼寝をするのは最高の時間の過ごし方になり、リゾートでもこの樹があるとないとでは、雰囲気が随分変わって来る。

乾季の終わり頃になると葉は紅葉し、やがてヒラヒラと葉を落とし枝だけの丸裸になる。落葉しながらもう新しい葉が出てくる所に熱帯の樹らしい生命力を感じさせ、落下した葉はなかなか渋くて深い複雑な色をしている。これを漆か透明な樹脂で固めたら、菓子皿のような面白い製品になるのではと考えた事がある。

 セブ市の隣にタリサイという町があって、最近市に昇格しているが、ここにある海岸は先の大戦中に、米軍のアメリカル軍団がセブ島に反攻上陸した場所で、ここからセブ島制圧作戦が始まっている。

また、これは戦後になるが、セブ島の日本兵捕虜一時収容所がこの地にあったのだがが、今ではその収容所がどこにあったのかはっきりしない。ここから日本兵捕虜は、隣にあるフィリピン戦線最大の激戦地だった、日本兵の屍累々のレイテ島に集められるが、彼の地の収容所で書かれた手記や記録は多く残されている。

 最近、このタリサイ市とセブ市間を結ぶ海岸道路が、埋立地と同時に完工し非常にアクセスが良くなった。以前はセブから南下する道路は昔ながらの狭い道一本しかなく渋滞の名所だった。
 この新しい道路や埋立地は日本の借款で作られ、完工しても土地の利用者がなく、事業主体のセブ市は杜撰な借金で苦しんでいる。市立不動産屋を開業しているようなもので、これが日本のODAだと思うと日比双方は惚け切っている。それでも平らな土地のないセブは海を埋め立てるしか方策はなく、埋立地特有の殺風景な景色には植樹をして公園化を計った方が、長い目では賢いのでは思える。
 
author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし100景, 17:15
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へそ曲がりセブ島暮らし100景 その28 暇なリゾート
暇なリゾート 何週間もどんよりした天気が続き、今年のフィリピンは天候不順だという。8月は日本の夏休みで、お盆時期は特に観光客が増えるが、この時期は雨季の最中であって天気が悪く、南の島特有の青空の広がる天気にはなかなか遭遇しない。
 海のリゾートは天気次第で印象と楽しみ方が変わって来るので、本当は『これこれの時期にはセブに来ない方が良い』と実情を教えた方が親切なのではないか。5月の黄金週間、年末年始いずれもセブは気候の悪い時期に当たる。

観光業は水もので、お客が来る時はかき入れ、ピーク・シーズンと称して国や地域を問わず、通常の倍以上の料金を取る仕組みになっているが、本来は客が増えれば単価が安くなるから、逆に安くしなければいけないはずである。しかし、年間を通して考えるとそうもならず、水商売といわれる由縁である。

 日本のお盆休暇が過ぎたこの日は、久し振りに青空が覘き、私共も数ヶ月振りにこのビーチに足を運んだ。
 お盆休み明けながら、まだかなりの日本人観光客が泊まっていると予想していたら、暇を絵に描いた閑散とした眠いような光景が漂っていた。

このリゾートはセブのリゾートの中でも老舗で、良い場所に立地し砂浜は天然である。年間に幾ばくかの会費を払うとリゾート入場が無料になり、ここ何年か利用している。午前や午後の数時間、海風に吹かれながら木陰で過ごすひと時は、贅沢な時間の過ごし方であり、セブ島生活の醍醐味でもある。

昔からここも含めて、セブは日本人観光客が多いリゾートだったが、最近は韓国人観光客の姿が非常に目立つ。それを裏付けるようにこの間、セブの外国人観光客統計数で、韓国が日本を抜いてトップになったニュースが出ていた。
 韓国からの直行便が増発され、航空会社が何社も相互に乗り入れている状況から、韓国―セブは有望な観光路線となっていて、今後も成長が見込まれている。

 一方、日本は一定程度の観光客数は確保といった状態にはなるだろうが、日本人のレジャー志向が世界中に広がり、リゾートの選択肢が多い事から考えて、この先は伸びないのではと思える。当地に住む者として、暇なリゾートは自分の庭のようでありがたい。
author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし100景, 16:55
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