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へそ曲がりセブ島暮らし2020年 その(1) 台湾の選挙中に台湾旅行をしたが

 台湾の総統及び立法委員選挙が、年明けの1月11日の土曜日に行われるのは飛行機の予約を取った段階では知らず、旅行の日程が確定してから選挙のあることを知った。

【写真−1 海外で街頭にてティッシュペーパーを配ること自体が珍しい】

 他の国の選挙期間中に旅行をしていたのはいくつもあるが、最近の記憶に残っているのはタイ・バンコクで目撃した選挙で、といっても候補者のポスターが張られていたので選挙をしているなと分かった程度で、どのような議員職を選ぶ選挙なのかよく分からなかった。

 台湾は国なのか地域なのか微妙な政治位置に立脚しているが、香港が中国の圧力によって現在の民主的制度が形骸化され、それに危機感を抱いた香港市民が昨年来長く抗議運動を続けていて、中国本土と切っても切れない関係にある台湾の選挙を野次馬したら面白いと思った。

 ところが台湾は日本の九州ほどの広さがあって、どこで選挙が行われているか分からず、またポスターを始めとした選挙運動は過熱して、街中を選挙カーが走り回っていると想像していたが、至って静かな様子であった。

 このため選挙の方法が日本やフィリピンと違うのでは思ったくらいで、フィリピンなど時の流行するポップ曲を朝から選挙カーの上から大音量で流しながら走り去り、ポスターはあらゆる塀や公共物、果ては街路樹にまで張り付け、買票など当たり前で、選挙の年はGNPが跳ね上がる。

 写真−1は台湾は穏やかな選挙と思っていたら、旅行最終日に泊まった基隆市の駅に降りた時に普通の格好していた叔父さんが配っていたティッシュペーパーで、珍しいこともあるなと受け取ったら選挙用ティッシュペーパーであった。

 この叔父さん選挙運動に熱心という風に見えず、見るからに旅行者にしか見えない小生に渡したくらいだから、恐らくアルバイトで配り、今日のノルマを消化したかったのではないか。

 それにしてもティッシュペーパーとはいえ、日本なら買収そのものの配り方だが、白昼堂々別に隠れて配っていたわけではないから台湾では許されている範囲なのであろう。

 ティッシュペーパーの左の人物、民進党の再選を狙った総統候補の『蔡英文』で、右は立法院委員現職の『蔡適應』でそれぞれに振られている番号だが、は総統立候補者3番目という意味で、右の,藁法院基隆選挙区候補者1番目という意味になる。

 下に政黨票民主進歩黨とあるのは、立法委員選挙は小選挙区選出と比例区選出の二通りがあり、同党は14番目の登録政党となり、台湾は昔から現職総統を出している民進党と国民党との二大政党が覇権を争っていると思いきや、意外に政党の多いことが分かる。

 

【写真−2 やはり高雄市長を辞任して総統選に出るのが筋ではないか】


 さて、選挙の結果であるが、蔡英文は過去の総統選史上最多得票となる817万票を集めて対抗馬の国民党候補に圧勝し、得票率は57.13%となり、一方の国民党の総統候補『韓國瑜』は得票数552万票、得票率38.61%と振るわなかった。

 写真−2は台湾南部にある台南市へ行った時見かけた韓國瑜の選挙事務所と思しき場所で写したが、ここは写真を撮ってから分かったが国民党の台南事務所でそういえばビルの前に国旗(国民党旗?)が何本もあった。

 韓國瑜は軍人学校出身で、県議や立法院委員を経て2018年の高雄市長選で当選したものの、その熱が冷めない内に2020年総統選に名乗りを上げたために、市長職を疎かにしているとの批判が強い。

 高雄市は人口で第3位、経済では台北に次ぐ都市だが20年以上に渡って民進党の市長を出していたが韓がそれを破って、一躍台湾政治の兆児となり、その勢いで総統選に出て、一時は現職の蔡を上回る支持率を得た。

 しかし昨年来の香港民主化闘争での中国政府のやり方が台湾国民に嫌悪されて、親中派の韓の支持率は下降し続け1月11日の選挙で大敗という結果になった。

 

 この結果に対して中国政府は予想されたとはいえ、台湾は中国の一部であり選挙結果には何の影響もないと声明を出しているが、負け惜しみ、慌てふためきぶりは明らかであった。

 

 中国政府は香港の自治を返還後50年間は保証するといいながら、徐々に侵食しているのは明らかで『一国二制度』が中国に都合の良い方便であることが見抜かれて香港市民は抵抗しているが、香港は中国大陸と繋がっていて地理的には御し易い。

 ところが台湾は海峡を挟んであるために地理的に簡単ではなく、また今回台湾を反時計回りに一周して台湾はかなり広いと感じ、それだけ人々の考えも香港より重層的と思われ、中国が唱える『台湾統一』は現実には不可能ではないか。

 

【写真−3 国民党の功罪は多々あるが昔の様には台湾も行かない時代】

 

 写真−3は台南市内で見かけた看板で『中國國民黨臺南市委員會』と繁体字が五つもあり、こういう難しい漢字を台湾は今も使用していることを思うと、大陸側の記号のような簡体字が当たり前になっている現状から融合は大変なような気がする。

 

 台湾は少数民族の多い島で、戦前の日本は台湾の少数民族を『高砂族』と一緒くたにして呼んでいたが、その少数民族の多い島に毛沢東率いる共産軍に敗れた国民党の蒋介石がこの島に逃げ込んだのが台湾の現代史の始まりである。

 

 そのため、蒋介石に従って本土から逃げ込んだ人々を『外省人』と呼び、元々の台湾住民を『本省人』として区別して、外省人の本省人への弾圧、圧政は酷かった歴史を持つが、今は外省人の子孫が増えて互いの軋轢は薄くなっているという。

 

 今回の選挙では、反中国か親中国かで投票の選択が行われたが、反中国派が勝利するが、民進党と国民党の支持者の割合はそれほど差がないといわれるから、総統選で民進党が大勝したのは従来の色分けが通じなくなっているのかも知れない。

 

 総統選に気を取られているが、同時に選挙が行われた立法院選挙では民進党が過半数を制したと伝わるが、改選前の議席を少し減らしていて、対して国民党は少し増やしているから、国民党がボロ負けということにはならないようだ。

 

 この立法院選挙結果を見ると大都市の固まる西海岸側はほとんどで民進党候補者が勝利し、対して山が迫って大きな都市は少ない東海岸側は国民党候補者が勝利していて、東西で政治的立場が明らかに違っているのが分かる。

 

 写真−1でティッシュペーパーの右に出ている候補者も基隆選挙区で当選していて、都市部でも民進党が強いのが分かるが、こういった二大政党に抗して新興の政党が生まれて立法院に議席を得ているが政治の流れとしてはどうなるか分からない。

 

 今回の選挙は投票率がかなり良く、その基は若者が投票に行ったためといわれるが、これは先に行われた香港の区議選で反中国候補側が劇的な圧勝をしているのと同じで、やはり若者が立ち上がらないと政治は変わらない。

 

 それを思うと、日本の若者の投票率の低さはどうしようもなく、むしろ自民党など若者の低投票率を歓迎して政権を維持しているくらいで、18歳からの選挙権もその一貫だから、なかなか日本の若者が政治的に目覚めるのは難しいのではないか。


 

author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし 2020, 19:46
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