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へそ曲がりセブ島暮らし2019年 その(34) 寿司にまつわる話

 寿司の嫌いな日本人というのは『カレーの嫌いなインド人』と同じくらいあまりいないと思うが、魚や刺身が嫌いな人は結構多いし、何事も好き嫌いはあり得るので一概にいい切ることはできない。

【家人の携帯で撮影したので横長でピントは狙った所に行っていない】

 子どもの頃から寿司が好きで、正月にお年玉をもらうと近所の寿司屋に行き、カウンター前に座って好きな寿司を食べたが、小学生なのにコハダのような青物とアワビを好んで食べたので、寿司屋の親父は小生の母親に『珍しい子ですね』といっていたそうだ。

 その当時、回転寿司はおろか店売りの寿司チェーンなど出現していなくて寿司は寿司屋の寿司を食べるのが当たり前で、家にお客が来ると出前の寿司を取っていたが、お客によっては寿司を残す人もいて、その残りを食べるのも子ども時代の楽しみであった。

 この来客に出前を取るというのは下町の家では普通に見られ、子ども心にも寿司を取るのは重要なお客や親戚筋に、蕎麦屋の天丼は普通のお客、出前を取らないのは只のお客と区別していたが、実際今思ってもその見立ては間違っていない。

 また、父親が会社の帰りに寿司屋で一杯飲んだ時に、寿司の折り詰めをお土産として持ち帰ることもあったが、食べるのは翌朝になるので、朝に食べる寿司というのは美味く感じなかったが、折り詰めに綺麗に並べられた寿司の数々は今も思い出す。

 写真は日本へ行った時に入った寿司店の握り寿司で、握り10
貫に茶碗蒸しとみそ汁が付いているからセットを頼んでいるようだが、寿司屋でも割合安価に提供するランチ・セットなのかも知れない。

 握られた10
貫の内容を見ると、右下からアナゴ、ウニ、イクラ、甘海老、玉子とあり、その上、右からサーモン、ハマチ、赤身、白身、中トロとなっていて上寿司を頼んだようだ。

 最近は以前のように握りをバクバク食べることはなくなり、この10貫でも多いくらいで良いネタを少量食べるだけで充分となり、量ばかりが強調される回転寿司からは足は遠退いた。

 消費税が導入する前、日本へ行く都度に行く回転寿司屋が渋谷にあって、一皿100円が105円から108円に値上げしても場所が良いのか、店外は順番待ちで盛況であった。

 その店もある年に行ったら回転寿司は変わらないが店名が代わっていて、以前はカウンター内で働く人の内、外国人は1人か2人程度で珍しいほどであったが、今は外国人の方が多くなっていて、客も外国人がかなり多くなった。

 この店もタッチパネルで注文し、注文した寿司を乗せた台がレール上を走って来るという際物的な店構えになったが、次に行った時には店は消え、他の業種に変わっていた。

 日本国内の旅行では新鮮な魚介類を各地で味わえるが、その中でも寿司は多く食べていて、印象に残っているのは高校生の頃に行った八丈島で食べた『島寿司』で、この時は島の空き地でテントを張っていたら近くの家の人が来て家に呼ばれ、ご馳走してくれた。

 時は正月で、島ではお祝いとして寿司を作るらしいが、白身魚を醤油漬けにし、それをネタにして握った一品で、後で調べたら使っている魚は『舞鯛』で、舞鯛は臭みのある魚だが、寒い時期には臭みが抜けて美味くなるらしく、その切り身を唐辛子入りの醤油に漬けて味を付けている。

 その時の味は忘れてしまったが、大きな握りを腹一杯食べ、その後に庭先に設置したドラム缶風呂に初めて入った体験と共に島の人の親切心は忘れがたく、今のようなよそ者を挙動不審者と警察に通報する時代とは遥かに違う。

 写真の寿司の中にサーモンがあるが、小生の子どもの頃はサーモンを寿司のネタに使うことはなく、サーモンを寿司ネタとして使い出したのはいつごろからと考えるが、サーモンには寄生虫があって寿司に限らず生では食べなかった。

 寄生虫は淡水魚に多く寄生されるらしいが、その中で回転寿司屋で扱うネタの中で『イズミ鯛』と呼んでいる白身の魚がある。

 この魚『鯛』と名付けられているから海の鯛の種類と思うだろうが、正体は淡水魚の『ティラピア』のことで、フィリピンでは大量に養殖生産され、市場でも普通に売られている。

 淡水魚を鯛などと名付けるのは詐称、食品偽装そのものだが、今や大手スーパーでもイズミ鯛の名前で堂々と売られていて取り締まって良いと思うがそうはならず、騙されるのは常に消費者の側である。

 以前中米・ホンジュラスに住んでいた時、ティラピアを養殖している知り合いから『ティラピアの刺身を食べさせる』と呼ばれたことがあった。

 彼の地でもティラピアは普通に養殖され食べられていたが、料理法は丸のままに油で揚げる方法しかなく、刺身のように生で食べるなど想像外の土地である。

 刺身で食べるティラピアにはコツがあって、三枚にした身を一度急速冷凍してしばらく凍らせてから解凍し、それを刺身にするが、これはティラピアの身には寄生虫があって、冷凍措置をすることによって寄生虫を死滅させ生食可能としている。

 そうやって食べたティラピアの刺身だが、かなり脂が乗っていて中トロくらいの感じがし、姿形からも意外な美味さであった。

 しかし、その脂の乗りからくどさを感じ、かすかな淡水魚特有の臭みも鼻に付き、最初は美味い美味いと食べたがその内箸は伸びなくなった。

 こういう脂のしつこいのはサーモーンや養殖のハマチにも共通していて、日本人の舌がこの手の脂を好むようになったのと関係があると思うが、江戸前の寿司というのはあっさり好みではなかったかなと思い出す。

 最後にセブの日本食レストランではどこも似たようなネタの握りしか出さないので、握り寿司を食べたいと思わず、食べる時は『チラシ寿司』が多い。これは寿司屋を経営する知人によるとチラシ用の具は結構良いネタの切り落としを使うので、食べて損はないという話から来ている。


 

author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし 2019, 19:03
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