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フィリピン・よもやま帖 2019 その−(7) 教育熱心なフィリピンの教育環境

 フィリピンは呑気な国との印象はあるが日本以上の『学歴社会』で、高学歴でないと就職口は狭まり貧困から抜け出せなくなっている。
 

 

 そのため、貧困の中で喘いでいても親は子どもに最上の教育を受けさせること熱心で、その辺りは日本とも共通しているが、日本は学歴よりも個人の志向を尊重、多様性傾向が強くなり、一時ほど蔓延していた学歴絶対社会ではなくなった。

 学歴よりもその後の就職、どう生きるかが重視されている訳だが、フィリピンの大学の卒業式は6月になっていて、いわゆる新卒がそのまま就職するのは40%前後と見られている。

 しかも大学で学んだ専攻が活かせる意中の職に就けたのは10%程度に過ぎず、この数字を日本に当て嵌めると、日本の大卒者の就職率は90%を超えているはずだからフィリピンの大卒の就職率は日本の半分にも満たない。

 また意中の職に就いたかという数字だが、これは日本の就職率が高率と出ていても、一番で志望した会社に就職できたのはフィリピン並みの割合になるのではないだろうか。

 それでも日本は二番手、三番手志望といってもそれなりの規模と内容を持つので、就職すれば会社に忠誠を尽くす日本人の性格からいって問題は少なかったが、今は新卒で就職してもすぐに転職する時代となり、以前とは様変わりした。

 フィリピンの新卒の就職率が40%と書いたが、せっかく就職出来ても転職するのは日本の比ではなく、かなり数字は高く、その理由で多くを占めるのは給与の不満になる。

 

 フィリピンの法定最低賃金は一番高いマニラ首都圏でも1日500ペソ(約1000円)をいくらか超えた程度で、地方に行くに従ってその額はもっと低くなっていて、これは日本の東京と沖縄の時給がかなり違うのと同じである。

 数字だけを比較すると、日本の1時間の最低時給がフィリピンの1日分ということとなり、実に8倍から10倍の格差があり、この低賃金を狙って日本企業が多数フィリピンに進出していて、資本の論理からいえば批判を受けるものではないが、『搾取』という言葉は消えない。

 ちなみにスターバックスのコーヒーの値段だが、フィリピンは150ペソ以上するから、日給の3分の1にも相当し、日本でいえば一杯2000〜3000円もする値段になるから相当な贅沢品で、普通のフィリピン人には飲めない。

 さて、フィリピンの教育に戻るが、6月からフィリピンの新学年は始まり、教育省によると今年の児童生徒の総数は2781万人余、前年に比べて3%近くの増加となっている。

 フィリピンの総人口は1億500万人を超えているが、児童生徒というと小学校から中学校を指すからこの年代が実に総人口の4分の1近くを占めることになり、65歳以上が4分の1を占めている日本と比較して、いかにフィリピンは若い人の多い国か分かる。

 ただし、これだけ児童生徒数が多いと受け入れる学校側が間に合わず、午前午後に授業を分ける二部制は珍しくなく、教師の数は足らない校舎も足らないと足らないづくしの教育環境で、首都圏にある小学校の在籍者数3000人という数字を聞いた時には驚いた。

 教育熱心なフィリピンと書いたが、この国では教育はビジネスとして捉えられ投資の対象となっているが、同じ経営でも工場経営よりは学校経営の方が社会的な聞こえは良く、そのため正確な数は分からないがフィリピンにはやたら大学が多い。

 セブ市は学生の多い街と知られるが、セブに限らず地方に行くとこんな所にカレッジがあるのかと目を瞠らせるが、そういったカレッジ卒の資格を取っても就職先はなく、今はどうか知らないがお手伝いがカレッジ卒というのは珍しくなかった。

 

 数多ある大学と書いたが、日本でもピンからキリまでの大学があるようにフィリピンも同様で、この国では国立や公立より私大の方がレベルが高いと見られていて、実際そのランクを見るとその通りになっている。

 

 最近、世界の大学をランク付けした結果が発表されたが、国立フィリピン大がフィリピンでは首位、前年384位から356位に上がり、アジアでは72位となった。

 

 フィリピン大は学生数3万8千人を超えるマンモス大学だが、これは国内各地に分校を持っているためで、セブにも分校がある。ただし、国内1位となってもその売り物は法学部の司法試験合格者が多いという程度で、日本の東大ほど有難味はないようだ。

 この司法試験の合格者数でいうと、セブに在るサン・カルロス大学の方が多く、一口に大学といっても学部によって大学間の格差は大きく、一概に国立だからレベルが高いとはならない。

 フィリピン大に続くのは私立のアテネオ大で、学生数1万人弱で601位、アジアで115位となっているが、この大学は前大統領のアキノの母校で、政財界に多くの人材を輩出していて、就職のし易さでは181〜190位と、フィリピン大の301〜500位をはるかに凌いでいる。

 

 これはアテネオ大が金持ち子弟のためにある大学であり、その子弟には親もしくは一族の職場が用意されていて、貧乏人でも学力次第で学べるフィリピン大とは違うということを如実に現している。

 

 3位は同じく私立のデ・ラサール大で学生数3万8千人強で、801〜1000位と前年と変わらず、この大学とアテネオ大はさしずめ日本の早慶に当たるような位置にあるようだ。

 4位にやはり私立のサント・トマス大で学生数3万4千人強で、この大学は建国の父ともいわれるホセ・リサールも学んだ伝統校で、前年と順位は変わらず901〜1000位となった。

 

 こういった名門校を出ても卒業後はコールセンター勤務という例も多く、フィリピンは大学は出たが相変わらず適度な職がないという環境で、これが年間100万人を超す海外で職を求める要因の一つにもなっている。

 

 最後に同大学ランクで1位はマサチューセッツ工科大、2位はスタンフォード大、3位がハーバード大と何れもアメリカが上位を占めていて、選定基準は良く分からないアメリカ優位になっているのは確かである。

 

 一方、日本では旧帝大系が上位を占め、東大が前年の23位から22位へと順位を上げ、京大も前年35位から33位、旧帝大系でない東京工業大が前回と同様の58位、阪大が前年67位から71位、東北大が前年77位から82位となった。


 

author:cebushima, category:フィリピン・よもやま帖 2019, 20:04
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