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ミンダナオ島紀行 南部篇 その(19) 市内の市場を覗いてから空港へ

【写真−1 小奇麗なスーパーも良いが、やはりこういった市場の方が面白い】

 

 漁港のマグロ水揚げ作業を見てから市内に急いで戻り、ホテルで帰り支度。少し時間があったのでホテルそばにある市場へ行く。写真−1は市場内の様子で、人口が40万人を超えるためにかなり規模は大きい。

 こういった公設市場は小さく区画された店で商売をしているが、その周りの路上で商売する人も多くて、店を張っている人と諍いにならないのかと思うが、上手く住み分けているようだ。

 この路上で商いをする人も市場の係員とおぼしき人になにがしかの金を払っているのを見かけるから、公認されているようだ。公認されないで、市場の周りの道端で茣蓙を敷いて売っているのもあって、値段は市場内、市場の周り、本当の路上順に同じような品物でも値段が安くなっている。

【写真−2 さすがにマグロの産地で、マグロの切り身の干物があった】


 時間がないので面白い物を見つけられなかったが、写真−2は魚の干物専門の店先。ただし、干物と言ってもかなり塩気が強く、多くはスープに入れてその塩味と出汁味で食すので、イワシの干物も見掛け、日本の干物を連想して焼いて食べると、口が曲がるほど塩辛い。

 小エビの干したのを買ったが、手前の小魚を勧められて産地を聞いたら『セブから』だという。セブの北部はこの手の干物生産地であり、こうやってミンダナオ島の外れまで流通しているから驚いたが『セブから来た』と言ったら苦笑していた。

 コーヒー豆は売っていないかと聞いて、奥の方でコーヒーを売っているのを見つけたが、豆ではなく既にローストして粉に挽いた物であった。相当風味は落ちるがものは試しで買って帰り、家で淹れて飲んだらとてもコーヒーとは言えない代物で、一回飲んだだけで冷蔵庫の奥に入れてあるが再び飲みたいとは思わない。

 滞在したセブ湖は標高1000mある高地で、世界のコーヒー豆の産地と同じような環境なので、本腰を入れてコーヒーを栽培すれば名品が産まれると思うが、この市場で買ったコーヒーは酷かった。たっぷりのミルクと砂糖を入れて飲めば飲めるのだろうが、ともかく細かく挽いてしまったコーヒーの粉には風味も何もない。

【写真−3 雨は降らず、赤茶けた大地が広がり、熱風が吹いている】

 写真−3は市内からトライシクルに乗って空港へ向かう途中、空港フェンス沿いで見た看板で、これは紛争の続くミンダナオ島で紛争の要因となっている貧困削減を目的とした日本のODAプロジェクトで略称が『J−Bird』で正式名称は『Japan- Bangsamoro Initiatives for Reconstraction and Development』。

 2006年の日比国交回復50周年の時に当時の安倍政権が打ち出し、以来数百億円規模の各種プロジェクトを行っている。看板の左側に表されているのはプロジェクトに乗っかって紛争地域で活動する日本NGOだが、このNGO、先年の台風ヨランダでは巨額の公的資金を使って被災地に物資を配っていたが、本当に役立っていたとは思わず、このNGOに限らず、NGOも理念とは裏腹に日本のODAの下請けに成り下がっているのが目立つ。

 ミンダナオ島の紛争地帯であるイスラム教徒に対して、日本が乗り出したのは日本は政治的に中立であるという一方的な見解で、他の国に先駆けて関わっていて、早い話が先に食いついたわけである。確かに貧困削減のためにとなると聞こえは良いが、地下資源の宝庫と言われるミンダナオ島の日本による先行投資という思惑が日本側の底流にはある。

 このイスラムに対して日本は中立という考えは、先のバングラデシュ・ダッカで日本人7人が殺された時にはっきり幻想ということが分かってしまった。この事件で被害に遭った日本人は『日本人だから撃つな』と言ったらしいが、日本人だから問答無用で殺されたのではないかと思い、既に日本人はイスラムの敵と見る勢力が存在することを認識しなければならない。

 このJ−Bird、安倍政権の時に出来たもので、アナクロの安倍が人道支援という名目でシリア難民などに支援したことが一部で反感を買っていることを思うと、皮肉な巡り合わせと思わざるを得ない。

 余計な考えだがダッカ事件の時、『中国人だから撃たないで』と言ったらどうだったであろうか。外国人全てを標的にしていたからやはり無意味かと思うし、中国もウイグル自治区のイスラム教徒を弾圧しているから逆効果かも知れない。


 

author:cebushima, category:ミンダナオ島紀行 南部篇, 19:08
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