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3月13日(水) 晴れ、弱風 閑話休題 《 プノンペンで買った大島渚のDVD 》
 昨年末から年始にかけてカンボジア、ヴェトナムを旅行したが、その時、プノンペンのDVD屋で写真の『大島渚作品集』を買った。

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枚組で確か4ドルだか5ドルだったと思うが、この時、同じようなDVDで『ジブリ作品集』があって、どちらを買おうかと逡巡した記憶がある。今にして思えば両方買っても10ドル足らず、ジブリも買っておけば良かったなと思うが、そういうケチでつまらない判断が人生には往々にしてあると書くとはチョッと大袈裟か。

 大島は今年の115日、満80歳で亡くなっていて、DVDをプノンペンで買ったのが前年の1224日だったから、3週間後に大島が亡くなり、何となく虫の知らせがこのDVDを手にしたのではないかと今は思っている。

 この
DVD、ケースの表裏に漢字で説明が書かれているから中国か台湾の製品、その割にはバーコードもしっかりあるからいわゆる海賊版ではないようだが、観る方としては画面と音質がしっかりしていればどちらでも良い。

 大島渚は生涯に
29本の劇場映画を撮っていて、私はその内、20本ほど劇場で観ている。このDVDには1959年、監督デビュー作の『愛と希望の街』はもちろん、最後の作品となった『御法度』まで19本が収められている。

 私が初めて大島作品を観たのは『青春残酷物語』で、今はとうにない『金美館』という松竹映画を封切っていた映画館で、家から歩いて数分の場所にあった。ここでは伴淳の『二等兵シリーズ』もずいぶん観たが、あの頃が日本映画の絶頂期だったのではないか。

 さてその『青春残酷物語』、もうどういう映画だったか記憶はほとんどないが、主演の桑野みゆきが印象に残っている。これは
1960年作品、中学生の時に観ているから、内容が理解できたのかどうか定かではないが映画の世界に引き込まれる作品の一つだった。

 大島はこの作品で『日本のヌーヴェルヴァーグの旗手』と言われるようになるが、確かにその後、一連の作品群を見ると日本の監督としては異質な感性を持っていた。しかし、最後の作品『御法度』(ちなみに
DVDイラストで大島が着る着物が御法度の舞台となった新選組の制服)公開が1999年だから、実に14年も映画作りの現場から遠ざかっていて、闘病も関係あるにせよ映画界から干されていた感じが強い。これだけの鬼才の晩年を活かせなかった日本の映画界の姑息性は問題であるし、大きな損失と思って良い。

 この
DVD、この間滞在していたラオス・ヴィエンチャンに持って行って、ホテルで何本か観た。どれも新鮮な気持ちで観られたが『愛のコリーダ』は日本で公開したような修正版ではなく、フランスで公開した完全版が収められ、1976年公開当時は『本番映画』とスキャンダラスな話題を集めたが、今では驚くほどのものではなく、猥褻とかの基準はいかに曖昧か良く分かる。

 今でも時々、猥褻容疑で写真や映画などが官憲に摘発されるが、あれは『刑事が検閲中に勃起したら摘発』と極めていい加減な人間臭いものだと、どこまで本当だか分からない話がある。最後に大島渚は、黒澤や小津、溝口以上に世界の映画人から再評価される日が来ると思っているがどうだろうか。


 
author:cebushima, category:閑話休題2013年3月, 19:37
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