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3月8日(金) 晴れ、やや風あり 閑話休題 《 インド人がラオスで作る三味線 》

 ラオス・ヴィエンチャンに滞在中、いくつかの家具やクラフト関係の工場を見学した。その中で特に印象的だったのは写真の『三味線作り』工房だった。しかも作っているのがラオス人ではなくインド人だった。

 どうしてインド人がラオスで日本の三味線を作っているのか最初は驚いたが、作っている様子を見れば納得することは多い。写真の遠方、棚に並べられているのは三味線の胴で他にもこのような状態で半加工の材料が積まれ、結構仕事が詰まっている感じがあった。

 座って仕事をしているのがインド人で聞いてみると『チェンナイ』出身だという。壁を挟んだ反対側にも同じように座って作業する場所があり、そちらには3人分の仕事場があった。そちらもチェンナイ出身で、奥さんや小さな女の子帯同でラオスに来ていて、この工房に茣蓙を敷いて寝泊まりをしている。

 この三味線を作る人々はインドでも楽器を作っていたといい、確かにその手際は慣れていて、三段に折れる棹の嵌め具合や、胴の内部に音を良くするための『綾杉』と言う細かい彫刻も緻密で、工芸品のような楽器を巧く作っていた。

 ラオスに来るきっかけはインドで楽器作りが駄目になったためというが、それがどうしてラオスに結び付いたかははっきり分からなかった。ただ、三味線は日本独特の楽器だから、インドで作っていた日本の三味線業者が何らかの事情からラオスで作っているのではないかと想像する。

 三味線は『カリン』材で作られるが、このカリンがラオスやビルマで産出しラオスで作るのは合理的だが、それにしても『インド人とは』と言うのが正直な感想。このインド人達の道具を見ると、鋸やノミ、鉋、砥石など日本の物を使っていて、これは日本の三味線作り職人が来て教え込んだなと良く分かる。

 こうやって海外で作れば安くなるが、コストだけの問題だけではなく、やはり日本の伝統的な物作りの世界では後継者がいないのだなとこういった現場を見る都度に強く感じる。そういう意味では何人だろうが技術が継承されることは貴重である。

 材料のカリンは日本でも見られる実の付く『花梨』とは全く違う樹で、花梨はバラ科、用材として使うカリンはマメ科になる。フィリピンにもこの材はありフィリピン名では『ナーラ』と呼び、フィリピンの国樹となっているが、既に伐り過ぎて伐採禁止になっている。

 ところが山の少数民族は決められた量を伐って良い抜け穴があって、これが違法伐採と結び付き市場では金さえ出せばいくらでも手に入るのが長年の悪弊として続く。ラオスでもかつてのように原木輸出は禁止措置になっているが、製材すれば出せる抜け道があってどの国もこの業界は山賊が商売をやっているような感がある。

 三味線といえば私の母は三味線を持っていて床の間へ箱に入れて立てかけてあった記憶を持つが、それも先年処分してしまった。ただし、バチだけは象牙製だったのでもったいないと思ってセブに持って来た。


author:cebushima, category:閑話休題2013年3月, 20:25
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