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4月10日(日) 曇り、軽風 閑話休題 《 写真で思い出す谷中墓地の桜 》
谷中霊園の桜 日本へ花見に行くと行く場所は決まっていて、今年はまだ見ぬ福島県三春町の『三春滝桜』まで足を伸ばそうと思っていたが、何度も書くように取り止め。

 写真は必ず行く谷中霊園の桜で、毎年同じ場所、構図で手前の桜の写真を撮っている。

 ここは山手線日暮里駅からすぐの階段を上がった場所で、雰囲気は東京とは思えないほど一変、なかなか落ち着く場所である。

 坂口安吾がその作『桜の森の満開の下』で桜と死者の取り合わせを記したのは有名だが、墓地に咲く桜はこれ以上似合う場所はない。西行が73歳で死ぬ時詠んだ有名な歌にーはなのもとに春しなんーがあって、この花は桜といわれるから、やはり死と桜は縁が深い。

 写真を撮った場所から石畳をたどって行くと霊園の中心に向かうが、その辺りはまた見事な桜並木が続く。墓地内ということもあって、馬鹿騒ぎする花見客もなく静かに桜を愛でる人が多い。それでも並木の下は青いシートを敷いた場所取りが一面を占める。

 落ち着いた場所なので老人ホームのマイクロバスが停まっていて、車内から桜を眺める老人の姿もあった。老境に至り見る桜はどんな感慨を持って眺めるのであろうかと思うが、当人達はニコニコ、解脱したような眼差しで桜を見上げていて、余計なお世話か。

 この並木の奥には幸田露伴の著作で知られた『五重塔』があったが昭和の代に失火で焼失、礎石だけがその跡を示す。今も健在なら場所柄目立った建物になったであろうし、子どもの頃、遠くから見たような記憶もあるが定かでない。

 桜並木を抜けると墓参客用の花屋などがあって、その古めかしい建物が何とも懐かしい。墓地を抜けて言問通りに歩を進めると上野桜木町、寺や古い店もあって散歩には面白いが、ここにも無粋な高層マンションが出現している。

 せっかくの景観をぶち壊すこの建物、裁判にもなったが完成してしまった。こういった建物に好んで入る人物は無神経なのではと思いながら、クの字に折れ曲がり歩を進めると芸大前に出、上野公園は間近である。

 公園の角には昔使っていた京成電鉄の地下駅があったが、今は閉鎖、子どもの頃は上野の博物館に行く時は良く利用した駅だった。

 芸大から文化財の奏楽堂を移築した辺り、以前はこんもりとした低木に囲まれていたが、今はのっぺらぼーな平地になっている。以前はホームレスがこの辺りに住んでいたが、石原都政が目障りと追い出し、陰になる植木を抜いてしまった。

 噴水から上野公園の並木に至るが、博物館前ではホームレス対象の炊き出しをやっていてその列の長さに驚いた。桜に浮かれる公園の表情とは対照的な日本の現実であった。
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author:cebushima, category:閑話休題2011年4月, 11:04
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