1月29日(土) 曇り、微風 閑話休題 《 最近の映画のことなど 》
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2011.01.29 Saturday
この時期の映画界にはアメリカのアカデミー賞候補作が出揃い、何かと話題を提供してくれる。
その前哨戦のゴールデン・グローブ賞では『ソーシャル・ネットワーク』が賞を得て、アカデミー賞もそちらに決まるかと見られていたが、ここに来て『国王のスピーチ』という地味目の映画が有力候補となった。
アカデミー賞選考者は老齢のメンバーが多いので、今風のSNSを扱ったドラマよりも後者のドラマの方が好みになっているのだろう。ソーシャル・ネットワークはDVDで観たがアカデミー賞としてはどうかなと思った小粒の映画だった。
映画産業はテレビが出て来ていずれ滅びると予言された時代があり、私の生まれ育った町でも7館あった映画館が次々と閉鎖に追い込まれた。しかし、映画は表現手段としては優れ物で、興行としても生き延びている。
そんな中、2010年度の日本での映画興行収入が過去最高を記録したとの発表があった。過去最高といっても邦画、洋画併せてたった2,207億円余、この額程度は一社で年間に売り上げる日本の企業はたくさんあり、健在なりといいながらパイは小さい。
2010年度の邦画は微増、洋画は16%弱の大幅増となっていて、洋画売上上位3本は『アバタ―』(156億円)、『アリス・イン・ワンダーランド』(118億円)、『トイ・ストーリー』(108億円)と続く。
いずれも今流行の3D映画になる。この3本で洋画売上の3分の1以上を占めてしまうから、3D映画がいかに話題を呼んだか分かる。多分フィリピンも同じような傾向になっているだろう。(写真はセブのモールにある映画館への入り口。ここには8館あってIMAXが3D映画になる)。
そういったご時世だが、この3D映画私はまだ観たことがないし、観たいとも思わない。理由は簡単でコケ脅かしの映画作りと思っている。
売上は爆発的な額を計上しているが、要するに映画の良し悪しではなく、いわばゲームに熱中する人々を集めたようなもので、内容ではなくその話題性で売り上げ、観客層としては痩せた存在である。もっとも世の中、全てに渡って痩せてしまった時代だから、映画ばかりを責めても仕方がない話だが。
映画に人生を感じるというのも大袈裟な書き方だが、映画を作る側も軽薄になっている現在、3D映画の浸透は映画が衰退する前兆のような気がする。これも杞憂で上手に住み分けるようになるのかも知れないが。
ちなみに邦画売上上位3本は『借りぐらしのアリエッティ―』(92.5億円)、『The Last Messge 海猿』(80.4億円)、『踊る大捜査線』(73.1億円)となっている。