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へそ曲がりセブ島暮らし2020年 その(26) 世襲の蔓延が政治を駄目にしたが叩き上げと称する人物も要注意

 安倍は首相職の辞任を表明しただけで、まだ日本の首相の座に座っていて、緊急事態ではなく首相に直結する自民党総裁選びは党員投票で選ぶべきという正論など、鼻から無視の自民党の妖怪どもは世間の注目を浴びるために形ばかりの後継者選びをしている。


【タイに沈むメコンの夕陽】


 その世間の蒙昧な層への引き付け方は見事で、安倍が辞任表明をしたら内閣支持率が急上昇し、恐らく安倍と同じように大手広告会社がバックに付いているのだろうが、安倍と一心同体であった官房長官の菅が次期総裁、即ち首相となることが投票前から確定している。

 人を見かけで判断してはいけないが、菅というのは『食わせ者』で、何だかナチス・ドイツの秘密警察『ゲシュタボ』か旧ソ連の同組織『KGB
』の人間のような感じがするし、実際、安倍を裏で支えていたから相当腹黒いことをやっていたようだ。

 特に菅は秋田県の村に生まれて苦学して政治の道に入った『叩き上げ』というイメージをだらしのないマスコミを懐柔して成功し、当初の不人気から今や候補3
人の中で一番人気というが、叩き上げと称する人間など権力への上昇志向が強いだけで、俺以外は駄目と見下す人間が多い。

 段々分かって来たが、菅は法政大の夜間部を出た苦学生のイメージを流していたが、実際は昼間の法学部政治学科卒業で、こういうインチキはマスコミ側は分かっているはずだが報道せず、菅にしてもそんなことは言っていないといつものように嘯くであろう。

 菅が法政大学出身というのは興味深く、菅の在学時期は学生運動の最盛期で、特に当時の法政大学は三派全学連党派の牙城で、学内は封鎖されていてその時、菅はどのように学生運動をしている学友をどう見ていたのか全く伝わらない。

 菅が空手部に所属している写真が出ているから、当時の運動部は学校側の傭兵として活動家に対抗する存在で、恐らく菅も空手部員として学生運動潰し、制圧側に回ったのではないかと想像するが、そういった視点で報道するマスコミは全くない。

 この法政大学時代の学生運動の体験、見聞から菅は権力側の恐ろしさを体得し、そこから政治を志し、権力側の自民党側に付いて、議員秘書、市会議員、衆議院議員と登り詰め現在に至っている。

 また、これも最近分かったきたというか、イメージ作りが成功し菅の圧勝確実となってマスコミ報道を解禁したのだろうが、菅は貧農の出ではなく父親は地元の町の議員を長く務めた名士で、兄弟もそれなりの大学教育を受けて教員になったりして、菅本人は苦学生ではなかったとの指摘もある。

 菅の言う叩き上げは汚職で晩節を汚した小学校出を売り物にした田中角栄を見習っているのだろうが、田中とは器が違い過ぎるし、菅の歩んだ道の苦労を田中と比較するなど兵隊経験を持つ田中に失礼なくらい単純な人生である。

 そういった人物が次期首相になるというのは日本の政治家のレベルも相当落ちたなと思わせるが、一点注目したいのは菅は総裁選に出ている他の2候補と比べて『世襲』ではないことである。

 他の2候補、石破にしろ岸田にしろ父親の地盤を継いだ世襲議員で、この世襲議員の蔓延が、政治の世界を内部から停滞、腐敗させる一因となっていて、ただただ長かった安倍も、その前の麻生にしても父親から地盤を受け継いだ無能な3世議員で、その弊害は余りある。

 特に副総理、財務相の麻生など今月に80歳を超えるのに未だ政界の重鎮面してしゃしゃり出ているし、今回の後継首相選びで意のままに操っているとされる幹事長の二階もやはり80歳を超え、権力というのは何歳になっても握っていたいのであろうが老害の何物でもない。

 何でも今の日本の国会議員の5割以上は世襲議員という数字があり、自民党に限っては8割くらいになるという数字で、政治を家業とする世襲の『政治屋』は日本だけの現象ではないが、世界の国で見ると世襲の率は1割くらいというから、日本は異常に突出している。

 

 

 このフィリピンを見ると政治屋の世襲は日本どころではなく、政治屋はほとんど世襲ばかりという国で、それは地方自治体の首長から自治体議員、上院、下院の国会議員全部に渡り、フィリピンは一族郎党でそういった公職を独占してしまうことが目に余る。

 

 こうなると一族が得た政治利権は肥大し、それに対抗する政敵との間には諍いが絶えず、結局相手を殺すというパターンが繰り返されて暗殺は常にあるし、警察や軍が政治屋一族の私兵と化しているから、その犯人摘発などほとんど進まない。

 

 フィリピン社会が昔から良くならないのは、この世襲による利権の確保があるからだが、実はフィリピン憲法には世襲を禁じる条項があって、ならばどうしてと思うが、その内容、施行については議会が定めるとなっていて、長年手が付けられていない。

 

 これこそ『泥棒に金庫番をさせる』最たるもので、自らの首を絞める世襲禁止の立法など議員連中が取り組むはずはなく、最初からその気のない憲法条文であることは明らか。

 

 さすがに日本でも世襲禁止の是非はあっても、フィリピンと同じで自分達の首を絞めるような制限などあり得なく、馬鹿な議員など憲法の職業選択の自由を持ち出しているが、政治を職業と見ていることがそもそもの間違いである。

 

 例えば同一選挙区での連続多選の禁止、三親等以内の立候補の禁止など世襲を防ぐなど考えられているが、これなど例えば選挙法で立候補するには年齢制限があるのと同じように、選挙の仕組みを変えるだけに過ぎず憲法云々に至る話ではない。

 

 しかし、どの国でも家業を潰される恐れのある立法を議員連中が賛成することは永遠にあり得ないだろうから無理な話で、増々政治は悪くなり、そのために政治への無関心が増え、それがまた政治屋の思う壺となり、悪循環は続く。

 

 そういえば世襲ではない菅は自分の息子に跡目を継がせるというし、次々の首相候補と名前の挙がる河野や小泉など3世、4世の政治屋一家出身で、こうなると世も末だなと思うし、それを容認、すぐに飲み込まれてしまう日本人も馬鹿としか言いようがない。

 


 

author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし 2020, 19:49
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