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へそ曲がりセブ島暮らし2019年 その(44) 長距離バスの旅を思い返す

 鉄道の旅の方が好きでバス旅はあまり経験していないが、最近セブ島北端の町へ行くことがあり、セブ北部ターミナルからバスに乗ってその町へ行った。

【手前のバスは4時間乗って200ペソ(約400円)のエアコン車】

 掲載の写真は同ターミナルでバスに乗車してから写したものだが、向こうに見える明るい緑の車体横に『RORO  BUS
』と大きく書かれたバスが目に入り、このバスの行き先は『MANILA
』となっていて、セブからマニラまで行く長距離バスが運行していることに驚いた。

 セブからマニラへ行く時、多くの人は船を利用していたが、今はフィリピンでも低価格航空会社同士の競争が激しくなってかなり航空運賃が安くなり、船の運賃よりも安い時がある。

 それだけの影響だけではないが、近年の飛行機の国内便ターミナルの待合室の混雑具合は尋常ではなく、チョッと遠出をするくらいのノリの利用客が多い。

 これもセブ−マニラ間を船で行くと一晩かかるところを飛行機だと1時間少々だから、のんびりしているといわれるフィリピン人でも、多少値段は張っても速い交通機関に流れるのは当然の理。

 フィリピン国内の移動手段というのは、公共交通機関ではわずかしかない鉄道路線以外は貧弱で、島嶼を結ぶ船舶航路とバス輸送が昔も今も主力になっている。

 フィリピンにも帰省時期というのがあって、特にクリスマス前後が年間のピークとなり、この時期は首都圏のバス・ターミナルから各地方へ出発するバスの様子が年中行事の様にニュースで流れる。

 その中でもマニラ−ダヴァオ行きという超長距離バスがあって、これはルソン島を南下し、次のサマール島にはフェリーで渡って同島を縦断し、サマール島からは橋を渡ってレイテ島に入る。

 レイテ島をまた縦断して南下し、フェリーでミンダナオ島北端に上陸し、そこからミンダナオ島を縦断するように南下し目的地のダヴァオへ至るが、この道は『マハルリカ道路』といって、マルコス独裁時代と日本のODAが密接に絡み合った道路である。

 このマニラ−ダヴァオ間を走る超長距離バスの所要時間を調べたら2日間かかり、運賃は2500ペソから3700ペソとあり、この運賃だと安い飛行便を見つければ飛行機の方が安くなる。

 なお、マニラ−ダヴァオ間の走行距離は1500キロ近く、2度のフェリー利用もあってこんな路線を利用する人が居るのかと思うが、結構本数は出ていて利用する人は多いのであろう。

 さて、写真のマニラ行きのバス、セブ島北端にある市まで行ってそこからフェリーでセブ島の北にあるマスバテ島に入り、マスバテ島からまたフェリーでルソン島に渡り、そこからマニラまで北上するルートを取っている。

 所要時間は詳しく分からないが1日程度、運賃は2000ペソくらいのようだ。先ほどから海を渡るのはフェリーと書いているが写真の車体に書かれた『RORO  BUS』のRORO のことで、これはRoll-on/Roll-off shipの頭文字を取っている。

 船舶の世界では車両が積み荷を積んだまま乗船でき、そのまま下船できる船をいい、典型的なのは自動車専用運搬船で物流の世界では普通だが、フィリピンはアロヨ政権の時に本格的に導入された。

 汚職まみれで退任後に逮捕されたアロヨだが、このRORO構想は島嶼部を結ぶ交通網整備であって評価して良い施策で、フィリピンの物流と人の流れに画期的な影響を与えている。

 それにして長時間狭いバスの座席に乗っているのはかなり苦痛と思うが、先日乗ったバスは飛行機の座席より余裕があって、いかに飛行機の座席が窮屈な仕様になっているか実感させられた。

 それほど長距離バスに乗らないと書いてはいるが、最近でもルソン島北部の旅で飛行機が飛んでいないこともあって、マニラ−ヴィガン、マニラ−バギオ間を乗っているが、。

 ヴィガンは世界遺産に登録された古い街だが、この時は一列3座席という配置は緩やかな夜行バスに乗ったが、車内は冷凍庫並みにエアコンを効かせていてフィリピンはエアコンを効かせ過ぎると分かってはいたが度を外れていた。

 このエアコンの効かせ過ぎは運転手の居眠りを防ぐためというが、それだけ運転手の居眠りが多いということにもなるのであろうし、実際長距離バスの事故というのは多い。

 フィリピン以外での長距離バスの経験では、カンボジアのアンコールワットからプノンペンを経由してヴェトナムのホー・チ・ミン市まで2日間乗り継いだことがあり、これはバスによる国境超えの初めての体験になった。

 先年、ラオスからメコン川を挟んだタイの国境間をバスで出入りした体験を綴ったのが、本HPの『タイ鉄道 各駅停車の旅』になるが、乗車時間としてはそれほど長くない。

 アフリカの内陸国で暮らした経験を度々書いているが、首都へ出る時に長距離バスを利用したことを想い出した。

 このバスはかなり高級なバスで、車内で飲み物と軽食を配ってくれて乗車地と首都間を8時間くらいで結ぶが、いわゆるローカルな長距離バスも運行しているが外国人が乗るには相当な度胸と根性が必要で、仕方なくこちらを使うがそれほど料金は高くはなかった記憶がある。

 ところがこの高級バス、利用者が少なかったためと、経済、政情不安のため運行しない時期もあって、運行しているかしていないかで首都へ行くかどうかの様子見も多かった。

 日本国内では長距離バスというのはいくつも経験していないが、東京−大阪間に高速バスの草分けともいえる夜行の『ドリームライナー』が運行開始して間もなく、東京−大阪間を往復したことがあり、車内後部のトイレ設備が物珍しかった時代であった。

 この時は、東名高速を走る初めての体験なのに夜間運行のために景色などは見られず、ただ移動し疲れたという印象しか残らず、以降長距離夜行バスはできるだけ乗りたくないなと思った。


 

author:cebushima, category:へそ曲がりセブ島暮らし 2019, 17:46
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