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《 ラオスの動植物 2015年 その(1) インドカリンの花が咲く 》
 ラオス・ヴィエンチャンは一番暑い時期になっていて、日中は40度くらいにもなる。

 ヴィエンチャンが暑いのは内陸部にあるせいで、何しろ空気が動かずネトッーと身体にまとわる状態で、暑さに窒息しそうな感じ。

 それでも
2年目のヴィエンチャン暮らしも身体が暑さに慣れたのか1年目の様なつらさは感じない。



 その猛暑の中、ヴィエンチャン市内では待ちかねたように様々な木々の花が咲いている。

 写真上は『インドカリン』と呼ばれている樹の花で、黄色い房がたわわに咲いていて、町中でもその存在は目立つ。

 インドカリンというのは英語の通称名で、マメ科シタン属に分類され、マメ科の樹というのは用材として良い樹が多い。

 以前にも書いたが『ホウオウボク』もこの仲間で、鮮やかな朱色の花を見かけるようになった。

 このホウオウボク、『火焔樹』と呼んで間違って認識されていることが多く、花の形、色などホウオウボクと火焔樹は明らかに違う。

 カリンなどと名前が付いていて実の成る『花梨』を思い浮かべるかも知れないが、こちらのカリンは花梨とは別の種類である。

 カリンは東南アジア地域に産出し、フィリピンでは『ナーラ』と呼んで『国樹』になっていて、高級家具用材になっているが、現在は希少種となり伐採禁止措置が取られている。

 そういった禁止措置はフィリピンでは何十年も昔からあっても、この世界は闇で取引されていて相変わらず禁止されている樹が市場に出てくるから不思議である。



 ラオスも従来は木材資源の豊富な国となっているが、実情はそれほどなく、ここも高級用材になる希少種を伐採措置にしている国になるが、市中の木材屋に行けば手に入れることができる。

 写真下は平地に咲くそのインドカリンの枝ぶりを写したもので、黄色い花を付けた樹がインドカリンになる。

 町中で見る樹もそうだが幹が細く分化する性質があるのか、用材として使えるような太さになるまでには大変な年月のかかることが分かる。

 こういった暑い盛りに咲き誇る木々の花が下火になる頃、ようやくヴィエンチャンに雨が降り出す雨季に入り、乾季は乾季で埃っぽい環境から、道々は出水騒ぎが頻発する季節へと移行していく。
 




author:cebushima, category:ラオスの動植物 2014年, 22:10
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ラオスの動植物 2014年 その(4) 銘木中の銘木=チーク
 この間、『世界の三大花木』に触れたので、今回は『世界の三大銘木』のことを書いてみたい。自然科学分野の三大何とかというのは、その根拠は薄く声の大きい方が強いようで、三大銘木といってもかなり異議を持つ人は多いのではと思う。

 一応、木工の世界で三大銘木とされる中『チーク』『マホガニー』については異論は少ないようだが、もう一つは『ウオルナット』とされていて、この材が銘木に入るかどうかは意見の分かれる所である。

 上の写真は『チーク』で、この樹は熱帯地域に育ち、私が毎日足を運ぶヴィエンチャンのキャンパス内で並木を作っている。写真では青々と葉を繁らせているが、ほんの少し前には枯れ木の様な状態で、これが数日続いた雨で芽が出て瞬く間に大きな葉に育った。

 チークは船舶用材として使われるように水に非常に強く、ヨットの世界では『チーク・デッキ張り』というのが高級な船の代名詞で、その昔乗っていたクルーザーは見事なチーク張りで、海水をかけてデッキブラシで磨くのが作業の一つでもあった。これは日本丸や海王丸といった日本の誇る大型帆船も同じで、実習生は甲板に張られたチークを椰子の実を半分に切った物で磨くのが日課だと聞く。

 中の写真はチーク並木の下に落ちていた葉の1枚で、右下に白く写るのは日本の文庫本で、その大きさが分かろうというもの。

 チークとひとからげに呼んでいるが、これも産地によってランク付けがあって、チーク中のチークというのは『ビルマ・チーク』で『タイ・チーク』がこれに続く。

 ビルマがミャンマーとなり経済制裁を受けていたミャンマーだが、軍が管理して豊富なチーク材を輸出して外貨を稼いでいたから軍政は長く持っていたとまでいわれるから、たかが木とはいえない。

 写真下はキャンパス内の並木の下に落ちているチークの種で、直径は10数ミリ、外側の皮を取ると産毛に包まれた種が1個ある。

 昨年
2月にヴィエンチャンへ来た時、このチークの種をたくさん拾ってセブへ持ち帰り、ポットに蒔いてみたが何れも発芽せず、フィリピンはチークの樹を植林している所があって、珍しいものではないが蒔いた時期が悪いのか土が悪いのか理由は分からない。

 このチークの植林で思い出すのは、フィリピン南部のミンダナオ島に広大なチーク植林地があって、その樹を伐って日本に輸出すれば大儲けができるという話が持ち込まれたことがあった。所がその場所はミンダナオ島で最も不穏な地域で、入ろうにも入れない地域なのでこの話は立ち消えになった。

 というより、この手の話というのはごまんとあって、特に木材絡みは危なくて『山師』というのはここから出ていて、
99%は眉に唾を付けて聞かないといけない世界でもある。


 
author:cebushima, category:ラオスの動植物 2014年, 21:42
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ラオスの動植物 2014年 その(3) 鳳凰木=ホウオウボク
 ラオスの40度を超す猛暑には驚いたが、その猛暑も徐々に収まりだし、朝や晩に雨が降るようになった。どうやら乾季が終わり雨季に入るようで、いくらかしのぎ易くなった。

 乾季の猛暑はまた街路樹などの花木の花が咲き誇り、それはそれで目を楽しませてくれたが、その盛りも雨季近くなって衰えを見せている。

 そんな中、写真上の朱色の花はこれから花盛りの季節を迎えようとしている。この花は『鳳凰木』といって、世界三大花木の一つに数えられる樹で、他の二つは『ジャカランダ』と『火焔樹』になる。

 こういう呼称はどこで決めるのか分からないが、できれば『桜』を世界三大花木の一つに加えたいところだが、桜はあまりにも日本の政治、精神を象徴する花木になっていて仲間入りは難しいのかも知れない。

 ジャカランダの花は紫色で、この花はアフリカ、中米で何度も見ていて確かに花盛りの街路樹は華麗、妖艶な印象を持った。ジャカランダはフィリピンでも育つと聞いて、先年、種を取り寄せてセブで種を蒔いたが何かが合わなくて発芽には至らなかった。

 もう一つの火焔樹の方は写真の鳳凰木と同じような朱色で、火焔樹と鳳凰木を混同することもあるが、花の形状はかなり違う。火焔樹は『アフリカンチューリップ・ツリー』と呼ばれるように、花の形はチューリップの様なこぶし状をしていて、鳳凰木の花は五弁に分かれていて見分けは容易い。

 この火焔樹はフィリピンでは『ファイヤーツリー』と呼ばれていて珍しい花ではなく、むしろその繁殖力が嫌われて花の華麗さとは裏腹に『害樹』扱いになっている。

 写真下はヴィエンチャンに未明の大雨が降った朝の光景で、鳳凰木の花が無残にも地上に叩き落されている。

 これはこれで美しさを覚えるが『花の命は短くて』を印象付ける。

 この鳳凰木、花を落とされても落とされてもめげずに花を次から次へと咲かせて、永遠の命を保つといわれる鳳凰
=フェニックスの名に恥じない咲きっぷりは見事である。


 
author:cebushima, category:ラオスの動植物 2014年, 19:40
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