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11月30日(火) 晴れ、軽風 閑話休題 《 外国で思う、花の下に死なん 》
花に囲まれて死なん 『願わくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ』と詠んだのは73歳で死んだ西行だった。

 写真は日曜日、知人の墓参りにセブ市郊外の墓地へ行った時、近くの埋葬場所を撮ったが墓碑が花に囲まれて美しく飾られていた。

 芝生の具合から相当前に埋葬され、昨日あたりに親族が集まって偲ぶ催しがあったのだろう。こちらの葬儀は日曜日が多く、この日もあちらこちらで埋葬準備がされていた。

 この墓地は民営だが、敷地の一角には平屋の墓所があって、それぞれ勝手なデザインでびっしり建てられている。その多くは中国系になるが死んでもこのように誇示しなければならないとは哀れさを感じる。

 中国系は死生観がまた日本人とは違い彼ら独自の墓地を持つ。中国系知人の墓所に行ったことがあったが、その大きさ、華美さから日本の墓など粗末に見えた。

 日本人も戦前は海外に日本人墓地を持っていて、このセブにもあった。以前、ボルネオ島のサンダカンに行った時、からゆきさんの墓地を訪ねたが、山崎朋子の著述で知られるまでは草木に埋もれていた。

 戦前のセブ日本人墓地の今はスクオッター(不法居住者)が住み着き、かつて墓地だった形跡は微かにしか残っていない。

 何年か前に現在のセブ日本人会がセブ郊外に墓所を設け、日本人の無縁仏を埋葬するようにしているが、外国で死ぬということはなかなか切ないものである。

 こちらに住む日本人で葬式代だけはあるから後は頼むという人間がいるが、死ぬのはその本人であってもその後始末は知人、関係者が骨を折るので勝手な言い草で死んではどうかと思う。

 そういう人はシャベルを持って自分で山に穴を掘って、そこで死んでくれた方が何にも迷惑をかけないので勧めたい。それでも上から土をかぶせるのは他人の手を借りなければならない。

 ましてや、日本人会が用意した無縁墓地に納めてくれという日本人の話を聞くと、何のために異国で孤独の境遇になっているのかと暗然とすると共にその境遇に言葉を失う。
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author:cebushima, category:閑話休題2010年11月, 10:35
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11月29日(月) 晴れ、軽風 閑話休題 《 日曜日に見たRed Beard=赤ひげ 》
赤ひげ 以前買ったDVDをチェックしていたら、まだ見てないのがあり日曜日の夜半にそれを見た。

 写真のDVDは相当前にセブで買ったが、黒澤明の羅生門、用心棒、椿三十郎、乱、夢、まあだだよ、そして日曜日に見た赤ひげの7本が入っている。

 どの映画も羅生門以外は封切りで見ているが、今回の赤ひげは高校生の時に見た。黒澤映画は中学生の頃から面白さが分かり、以後見続けているが何度見ても飽きない。

 赤ひげは3時間を超す超大作だが、製作中から話題も多かった。今回見て、その映画作りの熱はヒタヒタと伝わってくるが、この次に製作したドデスカデンを最後にさすがの黒澤もスランプに入った。

 黒澤組と称した製作陣の物故者は多いが、脚本ではそれぞれ一流の脚本家を数人もそろえるなど今ではとてもできない手厚い映画作りだった。

 黒澤の映画は音楽にも特徴があって、佐藤勝の赤ひげの音楽だけは強く印象に残っていて、今回も出だしを聞いてそのメロディーは蘇った。

 出演者も既に物故した人も多く、懐かしい顔ぶれが多かった。映画の中で覚えているのは子どもの『馬になりたい』シーン位で、その昔いくら感動したとはいえ記憶からボロボロ落ちている。

 主役の赤ひげを演じる三船敏郎の全盛期でもあり、黒澤映画といえば三船だったが、両人は仲が悪かったそうだから面白いものだ。加山雄三も若い姿を見せ、相変わらずの大根ぶりが清々しさを出している。

 清々しさといえばこの映画でデビューした内藤洋子は当時相当な話題になった。ある時、鎌倉へ遊びに行った時、その実家の医院まで行ったことがあって、後にも先にも芸能人の家を見に行ったのはそれだけで今思うと懐かしい。

 黒澤が選んだだけあって今の女優にはない持ち味があり、なかなか傑出した雰囲気が出ていて、早々と芸能界から引退したことも印象に残る。

 その他、文化功労章の杉村春子の伝法な演技など、ずいぶん贅沢に黒澤は俳優を使っていたのだと見直した。黒澤もカラー作品以後はいまいちの感じがあり、泥臭いヒューマニズといわれながら、もう日本の映画界では作れない作品でもある。
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author:cebushima, category:閑話休題2010年11月, 09:20
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11月28日(日) 曇り、朝方雨 閑話休題 《 パッキャオの銅像と高額納税 》
パッキャオの銅像 パッキャオの銅像がマニラのモール内に作られた。(写真はまにら新聞から)

 
パッキャオの他に、看護師、教師、建設と農業従事者の4体も側に作られ、これはフィリピン人海外就労者(OFW)を英雄と見る観点から選んでいる。

 看護師や建設の職種は分かるが、教師や農業職で海外にそんなに出ているのかと初めて知った。

 むしろ、ヘルパー(メイド)の方が多数派でこちらの方がふさわしいと思うが、絵になり難かったのであろう。あるいは船員なども良かった。

 教師は非英語圏のインターナショナル・スクールに多く出ているようだ。農業は単純労働者になるだろうが、ハワイはフィリピン人をサトウキビ畑で使っていてその流れだろうか。

 パッキャオはOFWの稼ぎ頭とこの間書いたが、このほど、国に納めた税金額が個人でフィリピンで1位との発表があった。数字は2008年で12,500万ペソ(現在のレートで24千万円)となっている。

 フィリピンには世界の富豪番付トップ100に載る桁外れの人物が何人もいるが、例えばフィリピン一の大富豪、小売業最大SMの総帥ヘンリー・シーなどたった727万ペソしか税金を払っていない。

 もう一人、ヘンリー・シーと大富豪の座を争うフィリピン航空を持つルシオ・タンなど個人納税トップ100にも入っていない。ちなみに会社経営者で納税最高額の人物は2,600万ペソ足らずだから、パッキャオがいかに税金をごっそりとられているか分かる。

 会社経営者とパッキャオのような個人事業者とは税の在り方も違うだろうが、多額納税者に名を連ねるのはほとんどが中国系で、この連中は税金を払わないことで有名で、このような低い数字からも裏付けられた。

 ルシオ・タンなど所有する煙草会社が莫大な税金を払わず、国と裁判沙汰になっている位で、鼻から税金など払う気がないのが分かる。こういったフィリピン経済の癌のような存在から国が税金を取り立てられないことがフィリピンの一番の弱みでもある。

 ちなみに取り立て易い芸能人トップは5,860万ペソを払っている。現大統領の芸能人の妹も2,544万ペソを払っていて、これは富豪の納税額と近い額だから富豪になるにはいかに脱税(節税というだろうが)をするかどうかがポイントのようだ。

 パッキャオの銅像はいくらかかったのか知らないが納税額から見れば安い物だ。パッキャオは完成式典には姿を現さなかったから、少しは税金の不公平さを感じているのではないか。

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author:cebushima, category:閑話休題2010年11月, 08:32
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