5月30日(日) 曇り、微風 閑話休題 《 『在留日本人の比島戦』を読む 》
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2010.05.30 Sunday
この本は平成6年(1994)に刊行された。
筆者は大正元年生れ(1912)、昭和5年(1930)から昭和21年(1946)までフィリピンに居住していた。
最初はミンダナオ島ダバオに行き、その後ルソン島ラグナ州に移り、現地で敗戦を迎える。
副題に『フィリピン人との心の交流と戦乱』と書かれているように、戦前の日本人がどのようにフィリピンで仕事をし、どのように生活していたかの一端が書かれている。
筆者はタガログ語が出来たために、日本軍に徴用されやがて兵役に就いた。負け戦の中、民間人を交えてラグナ湖周辺を逃避する描写はリアルに淡々と描かれている。
逃避行の道筋には戦わずして倒れた日本兵の白骨が多く、フィリピン中『草生す屍』の無残な戦争だった。
フィリピンでは部隊が壊滅し、散り散りになった将兵達の逃避行手記は多いが、現地招集を受けた日本人の手記は少なく、その意味では貴重な記述でもある。
筆者は『大東亜共栄圏』を信じる人物で、フィリピンで日本軍が行った行為についてはほとんど書かれていない。
筆者が逃避行を続けた地域は軍による大量虐殺が幾つもあった地域で、そこで軍務についた人物が何も知らないように書いている事に不自然さを感じた。それだけ、当時は統制が激しかった事にもなるが。
この本は戦前にフィリピン中に住んでいた在留邦人の動向を知る上で貴重で、ダバオ、バギオ、マニラ近辺の日本人の手記は多いが、このセブは少ない。
戦争経験者は鬼籍に入る前に、口を噤まずに真実の記録を残して欲しい。それが死んだ仲間への最後の供養とも思う。
5月29日(土) 曇り、風なし 閑話休題 《 アメリカン・アイドル決まる 》
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2010.05.29 Saturday
第9期『アメリカン・アイドル』最終回が先日行われ、前回は男性同士で最終を争ったが、今回は男女競合となった。
栄冠はイリノイ州出身男性のLee DeWyze(24歳)=リーに輝いた。
女性はオハイオ州出身のCrystal Bowersox(24歳)=クリスタルだった。(写真)
昨年は男同士の競合だったので、今年は女性になるかと予想したが外れた。クリスタルは敗れたとは言え、既にシングル盤を出したから芸能人への道を歩み始めた。
栄冠を勝ち取ったリーが、最初のオーディションを受けたのは2009年6月で、最終戦までちょうど1年間かかり長い道程でもあった。この間、18回の選考を経たが歌った曲も色々なジャンルで20数曲を数えた。
リーは今回挑戦するまでの職業は『ペイント・セールスマン』で、普通の人がアイドルになった感じがある。しかし、2007年には自分達のバンドでインディーズのアルバム2枚を出した経歴があり、全くのアマチュアではない。もっともアルバムは売れなかったようであるが。
一方のクリスタルはシングル・マザーでアイドルと言うには日本的な感覚からは外れる感じだが、アメリカでは構わないのであろう。
この番組では毎週1人か2人が振り落とされて行くが、最終16人位に残った面々は甲乙つけ難く、既に芸能人としての雰囲気を漂わせていたし、この辺りが一番面白い所だった。
日本の高校野球で準々決勝進出の16校位の組み合わせに好試合が生まれるのと同じ様なものがあるのだろう。最終選考は全米の投票によるらしいが、どちらも地元は熱狂していた。