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2月28日(日) 曇り、軽風 閑話休題 《 四半世紀で何が変わったか 》
エドサ政変記念日のアキノ エドサ政変から四半世紀経った。この四半世紀でフィリピンは何が変わっただろうか。思いつくまま書いてみる。(写真はエドサ政変記念日集会のアキノ Philippine Star紙より)

 あの当時、フィリピンの人口は5,000万人台の半ば位だった記憶を持つ。現在の人口は既に9,200万人を超え、この島国は世界でも12番目の人口を抱えている。

 最重要課題の貧困問題に兆しが見られないのは、爆発的な人口増で経済成長を食ってしまっていると以前から指摘されている。

 政府も、国民も人口問題の重大さを分かろうとしない無策の四半世紀だった。特に『カトリック教会』はその筆頭で、この問題を阻害し続ける限りこの先も暗い。

 街には新車が多く走っていて貧しい、貧しいと言われる割には結構な事だが、その多くは海外送金で支払いを賄っているとの話があって、豊かさとはひと味違う。

 タクシーは劇的に変わった。雨の日に床から泥水が跳ね上がるタクシーなどもう走っていないし、以前はエアコン車とノン・エアコン車の2本立て料金だったが、今はもうエアコン車だけである。

 しかし、相変わらず公共輸送機関は貧弱で、首都圏では軽量鉄道が整備されてもほとんどの地方は『ジプニー』頼りである。

 労働者の環境はどうだろうか。失業率は良くなったかも知れないが、潜在的失業者の多さは変わっていないのではと思う。

 『G2020ヶ国・地域首脳会合』が2008年から発足し、インドネシアがこのメンバーである事は知られていない。

 インドネシアはフィリピンより後進との認識が強かったが、1人当たりGDP2008年)では3,986ドルで、3,546ドルのフィリピンを既に追い抜いている。

 アジアの病人と揶揄されて長いフィリピンだが、インドネシアと比較すると相変わらず治らないのが分かる。

 折しも大統領選が真っ最中である。1番変わらないのは『ポリテコ』と蔑称される政治屋連中で、役人連中の汚職も相変わらず。

 自浄機能も掛け声だけで、基本的には何も変えたくない国なのかなと思わざるを得ない、四半世紀を感じる。
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author:cebushima, category:閑話休題2010年2月, 09:30
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2月27日(土) 晴れ、微風 閑話休題 《 モヤシ 》
モヤシ 『モヤシ』の値段は安くて、日本で人気があるらしい。

 写真のモヤシは近所のスーパーで買った物だが、300gで17ペソ(34円)だった。日本のスーパーでは1,000g、100円の目玉商品もあって、フィリピンよりも安いから驚く。

 モヤシに人気が出ているのは所得が減り、安価な食材を求めた結果との事で世相を端的に現している。

 モヤシはビタミンやミネラル類が豊富で、炒めても茹でても、味噌汁の具などと用途も広く、ラーメンにも相性が良い。

 フィリピンの人はモヤシの事を『Togue=トゲェ』と言っているが、あまり食べないようだ。フィリピンの人口の1%以上を占める中国系が良く食べるので、こちらでは普通に手に入るし、品質も良くなった。ちなみに中国では『銀芽』と言い、特徴を良くとらえた漢字だ。

 このモヤシを作る元は『緑豆=リョクトウ』で、フィリピンではスープや餡に使われる『Mongo=モンゴ』の豆になる。

 以前、中米・ホンジュラスで暮らした時に、このモヤシ作りに挑戦した事があった。彼の地ではモヤシとか豆腐と言った食材は手に入らないから、出来ればしめたものだと思った。

 作り方はネットで調べ、豆はスーパーで袋入りの緑豆を買った。ガラス瓶に水に浸した豆を入れタオルで包み、普段あまり使わないトイレの薄暗い片隅に安置した。

 何日も水を切らさぬよう、温度も気を付けていたが一向に発芽する様子がなかった。おかしいなと思いつつも手をこまねくばかり。しまいには変な臭いがして来たので、捨てざるを得なかった。

 これで挫けずにモヤシ作りを続ければ良いのだが、そこまで追求する代物ではなく、フィリピンに帰って食べればいいやで終わった。今考えると、スーパーで買った袋詰めの緑豆は加熱処理がされていて、死んだ豆だったようだ。

 それではいくら手塩にかけても発芽はしない。モヤシがいつでも手に入るセブの今に感謝したい。

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author:cebushima, category:閑話休題2010年2月, 09:06
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2月26日(金) 晴れ、軽風 閑話休題 《 セブに死す 》
事件のあったホテル 『セブに死す』は、トーマス・マン原作、ヴィスコンティ―監督の映画『ヴェニスに死す』を真似たものだが、この24日に71歳と83歳の日本人老夫婦がセブで命を絶った。

 セブの1番大きな英字紙が1面トップで報じていたから、フィリピン人にも老齢夫婦の『心中』の衝撃度は強かったようだ。

 夫が妻をひもで首を絞め殺してから夫は自殺したが、遺書もあって夫婦間では合意があった。(写真は事件のあったリゾート・ホテル)

 心中は英語では『Double Suicide』と素っ気なく、日本人が持つ、道行とか情死といった情緒は英語からは感じられない。

 さて、この事件だが色々と考えさせられる事が多い。この老夫婦、セブにはリタイアメント・ヴィザで9年住んでいたと言う。

 このヴィザは外国人に対して『退職後にフィリピン生活をエンジョイしよう』を売り物に盛んに宣伝しているもので、早い話がヴィザを商品化して販売している代物である。

 その国の『永住権』を金で買える国は他にもあるが、フィリピンはともかく条件が緩い。以前は値段が5万ドルだったが、どう言う訳か今は2万ドルで良い。

 それで、念願、あるいは事情を抱えて、フィリピン生活を始める人は多いが、このヴィザは当たり前だが生活の面倒は見ない。自己責任で暮らしてくれで、誰も極楽などは保証しない。むしろ『鴨ネギ』の口で騙されるのも多い。

 さて、心中した老夫婦の場合、妻の方が脳梗塞で車椅子の世話になっていた。いわゆる『老老介護』で、結局疲れ果ててこの結果になってしまった。

 フィリピンは人件費が安いため、障害を持つ人や老齢の方が多く住みだしたが、その先を考えると怖ろしい。しかも、それに群がる怪しい人物も多い。

 セブでは先月も60代の日本人男性が病死しているし、フィリピン全土と過去を見れば、孤独死、病死の日本人は増える一方である。

 心中した老夫婦、最後の晩は酒を飲みながら楽しく過ごしていたらしい。切ない話だがせめてもの慰めである。

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author:cebushima, category:閑話休題2010年2月, 09:25
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