2月27日(土) 晴れ、微風 閑話休題 《 モヤシ 》
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2010.02.27 Saturday
『モヤシ』の値段は安くて、日本で人気があるらしい。
写真のモヤシは近所のスーパーで買った物だが、300gで17ペソ(34円)だった。日本のスーパーでは1,000g、100円の目玉商品もあって、フィリピンよりも安いから驚く。
モヤシに人気が出ているのは所得が減り、安価な食材を求めた結果との事で世相を端的に現している。
モヤシはビタミンやミネラル類が豊富で、炒めても茹でても、味噌汁の具などと用途も広く、ラーメンにも相性が良い。
フィリピンの人はモヤシの事を『Togue=トゲェ』と言っているが、あまり食べないようだ。フィリピンの人口の1%以上を占める中国系が良く食べるので、こちらでは普通に手に入るし、品質も良くなった。ちなみに中国では『銀芽』と言い、特徴を良くとらえた漢字だ。
このモヤシを作る元は『緑豆=リョクトウ』で、フィリピンではスープや餡に使われる『Mongo=モンゴ』の豆になる。
以前、中米・ホンジュラスで暮らした時に、このモヤシ作りに挑戦した事があった。彼の地ではモヤシとか豆腐と言った食材は手に入らないから、出来ればしめたものだと思った。
作り方はネットで調べ、豆はスーパーで袋入りの緑豆を買った。ガラス瓶に水に浸した豆を入れタオルで包み、普段あまり使わないトイレの薄暗い片隅に安置した。
何日も水を切らさぬよう、温度も気を付けていたが一向に発芽する様子がなかった。おかしいなと思いつつも手をこまねくばかり。しまいには変な臭いがして来たので、捨てざるを得なかった。
これで挫けずにモヤシ作りを続ければ良いのだが、そこまで追求する代物ではなく、フィリピンに帰って食べればいいやで終わった。今考えると、スーパーで買った袋詰めの緑豆は加熱処理がされていて、死んだ豆だったようだ。
それではいくら手塩にかけても発芽はしない。モヤシがいつでも手に入るセブの今に感謝したい。
2月26日(金) 晴れ、軽風 閑話休題 《 セブに死す 》
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2010.02.26 Friday
『セブに死す』は、トーマス・マン原作、ヴィスコンティ―監督の映画『ヴェニスに死す』を真似たものだが、この24日に71歳と83歳の日本人老夫婦がセブで命を絶った。
セブの1番大きな英字紙が1面トップで報じていたから、フィリピン人にも老齢夫婦の『心中』の衝撃度は強かったようだ。
夫が妻をひもで首を絞め殺してから夫は自殺したが、遺書もあって夫婦間では合意があった。(写真は事件のあったリゾート・ホテル)
心中は英語では『Double Suicide』と素っ気なく、日本人が持つ、道行とか情死といった情緒は英語からは感じられない。
さて、この事件だが色々と考えさせられる事が多い。この老夫婦、セブにはリタイアメント・ヴィザで9年住んでいたと言う。
このヴィザは外国人に対して『退職後にフィリピン生活をエンジョイしよう』を売り物に盛んに宣伝しているもので、早い話がヴィザを商品化して販売している代物である。
その国の『永住権』を金で買える国は他にもあるが、フィリピンはともかく条件が緩い。以前は値段が5万ドルだったが、どう言う訳か今は2万ドルで良い。
それで、念願、あるいは事情を抱えて、フィリピン生活を始める人は多いが、このヴィザは当たり前だが生活の面倒は見ない。自己責任で暮らしてくれで、誰も極楽などは保証しない。むしろ『鴨ネギ』の口で騙されるのも多い。
さて、心中した老夫婦の場合、妻の方が脳梗塞で車椅子の世話になっていた。いわゆる『老老介護』で、結局疲れ果ててこの結果になってしまった。
フィリピンは人件費が安いため、障害を持つ人や老齢の方が多く住みだしたが、その先を考えると怖ろしい。しかも、それに群がる怪しい人物も多い。
セブでは先月も60代の日本人男性が病死しているし、フィリピン全土と過去を見れば、孤独死、病死の日本人は増える一方である。
心中した老夫婦、最後の晩は酒を飲みながら楽しく過ごしていたらしい。切ない話だがせめてもの慰めである。