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2010 アキノ政権 Watch (10) アキノ大統領と副大統領の純満足度調査

アキノとビナイ 10月末に民間調査機関『パルス・エイシア』が調査したアキノ大統領と副大統領に対する評価結果が発表された。

 調査サンプルは1,200だったが、これによると業績満足でアキノは79%、副大統領は78%の高率で支持された。(写真は左アキノ、右副大統領ビナイ)

 反対に業績を評価しないのはアキノと副大統領共に3%で、純満足度はそれぞれ76%、75%となり、歴代政権と比べて驚く程の支持率を集めている。

 同時期に他の調査機関『SWS』でもアキノに対する高い純満足度が出されていて、この調査では満足度73%、不満足が9%で純満足度は64%となっている。

 同調査会社が過去に調査した数字で最高を示したのはエストラーダだったが、その時でも純満足度は36%だから、アキノの人気が引き続いていることが分かる。

 同調査で部門別に見ると、最も純満足度が高かったのは52%の貧困層対策と外交で52%だった。

 これといって実績を上げているわけではないが、貧困層対策はこのほど世界銀行からの融資を使って貧困層に一定額の金をばら撒くプロジェクトを始めるが、その評価が加味されているし、前大統領アロヨのような尊大なところがない雰囲気もプラスになっているのだろう。

 外交は先のマニラバスジャック事件の不手際で叩かれたが、大統領自身の問題ではないと評価されたのであろう。

 この外交だが、ノーベル平和賞授賞式に出席を拒否した国16ヶ国にフィリピンが入っている。フィリピンのアメリカべったりの外交路線から見ると奇異に感じたが、やはり中国のフィリピンに対する金に糸目を付けない抱き込みが効いているのだろう。

 この平和賞出席拒否問問題、フィリピン国内でまだ問題にならないのが不思議である。皮肉なことに人権保護42%と高支持が続いている。

 このように設問項目14の内、12項目にアロヨより改善が見られアロヨよりはましな政権という評価が形成されつつある。もっとも、何にもやっていないというのが実感であるし、日本のように支持率が乱高下するような国民性でもないのが分かる。

 アキノは大統領選に出る前は単に毛並みの良さだけで、政治的手腕は疑問視されていたが、大統領になってから意外に悪くはない感じを持たせている。これは閣僚がそれなりにやっていることもあるだろうし、経済が上り調子になっていることもある。

 しかし、この国の根本的な問題は手付かず、先送りだからいつ堰が崩れるかどうか時間の問題のような気がする。
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author:cebushima, category:2010 アキノ政権 Watch, 18:10
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2010 アキノ政権 Watch (9) 選挙に見るフィリピンのアウトローぶり
バランガイ選挙光景 フィリピン人相手に何かの問題が起きると会話中に『because』が連発される。これは『なぜなら』『だから』の意味で、要するに言い訳する時に乱発される単語である。

 これは政府のような公的連中も使い、こともあろうに法に則って厳格であるはずの『中央選挙管理員会』が使ってしまった。

 フィリピンには『バランガイ』という末端政府組織があって、この長をキャプテンと呼び議員を7人前後抱える。この組織は全国に約43千あり住民の選挙で選ばれる。

 バランガイは例えば日本でいう住民票のような書類を出すし、バランガイ・ポリスといって警察権も持っていて、日本でいう町内会とは毛色が違う。マニラ首都圏には数万人を抱えるバランガイもあるそうだから、チョッとした市並みの力を持つ。

 この選挙が1025日に行われたが、その時、出馬できない資格の人間がキャプテンに立候補して問題になっていた。(写真はその選挙光景)

 この資格とは連続して3回以上、つまり4選が禁止される選挙法があって、これを破って立候補したのが全国で4,433人にも上った。その割合全国の1割以上だから無法もいいところである。

 中央選管は選挙前にこの違反者は『当選しても失格』させると警告していた。中央選管がつべこべいう前に、どうしてそれぞれの地元の窓口でこういった無法者をハネなかったのかと不思議な気がする。

 3回連続して長をするような人物は地元のボス、有名人だから知らないで受け付けたとは思えない。要するに『グルミ』で仕組んで立候補、あるいは立候補させたのが真相であろう。

 このキャプテンという地位がどのような美味しい役目になるのか知らないが、末端政治屋として相当甘い汁を吸えるのであろう。

 さて、だらしがないのはこの警告を出した中央選管で、1118日になってこの違法な連中を容認するとの決定を出した。

 その理由がふるっていて、事務的手続きが遅れて確認作業ができなかったので『超法規』措置を取るとした。いっていることが良く分からないが、要するに余計な仕事をしたくないに尽きる。

 こいつら何のために給料もらっているのだと思いたいが、他所の国の話で笑うしかない。

 違反者には6年以下の禁固刑と、公民権が剥奪される立派な共和国法もあるが、有名無実、この決定には誰も怒らないようでアウトロー国家健在である。
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author:cebushima, category:2010 アキノ政権 Watch, 17:50
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2010 アキノ政権 Watch (8) どぎつい駐日大使任命と中国系財閥
ロペス財閥ビル 現在の駐日フィリピン大使はシアゾンといって、日本人を妻に持つ知日派だが、このほど新駐日大使が決まった。

 その人物はマニュエル・ロペス(67歳)、フィリピンに住んでいれば誰でも分かる『ロペス財閥』を率いる。(写真はロペス財閥ビル)

 フィリピンの経済は昔から財閥に握られているが、ロペスもスペイン人風の名前であっても中国系の財閥であり、近年はとみに中国系財閥の跋扈が顕著である。

 その中で孤高を保つのが『アヤラ財閥』で、これはスペイン系の血筋を守る。以前、ある金持ちに聞いたら彼ら金持ちは『スペインから嫁を拾ってくる』と表現していた。

 今でも、スペインの血統を守るスノッブなフィリピン人は多く、私がスペイン語をしゃべる日本人と分かって急に対応が変わったことがあった。

 考えてみれば日本が過去に中国を蹂躙し、中国人が日本語をしゃべったからといってこういった変化はないから、同じ植民地宗主国でもずいぶん違うものだ。

 中国系の財閥でフィリピン最大の小売りSMの『ヘンリー・シー』、フィリピン航空、煙草会社を傘下にする『ルシオ・タン』など世界長者番付100位以内に入る者が何人もいる。

 アキノの親戚のコファンコも中国系で、このように中国系のその盛隆ぶりはフィリピンを植民地にしているといっても過言ではない。

 エストラーダが大統領になったのもこれら中国系財閥の丸抱えだったし、大統領を辞めざるを得なかったのは、これら中国系の専横を嫌った他の勢力が動いたためで、いずれにしても金力を背景にこれら中国系の工作は大胆で汚い。

 もっとも、これら中国系の人物が昔からフィリピンで金と権力を握っていたわけではなく、みな貧民の身の上から一代、二代で興しているから、フィリピン人の無力さが目立つ。

 さて、このロペス財閥だが、分かっているだけで100億ドル資産となっている。進出分野は多岐に渡り、フィリピンを二分するテレビ・ネットワークのABS-CBN、首都圏の電力会社のメラルコなど多数の基幹産業を握る。

 このロペス財閥はマルコスが大統領になる時に相当肩入れしたが、後年マルコスより潰されそうになったが、アキノ以降は盛り返した経緯がある。

 こうやって、太った財閥人士は大使格でも上級の任命を受けてますます政財界に手を広げるが、それにしても選挙中の功労賞だろうがアキノも身内人事がどぎつ過ぎる。
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author:cebushima, category:2010 アキノ政権 Watch, 13:26
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