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フィリピン・よもやま帖 2018 その−(14) フィリピンで犯罪を起こして捕まる日本人続出

 日本の外務省で扱う海外に居る日本人への援護件数は、2016年度で1万8千件を超え、この10年で過去最多を記録し、国別では在フィリピン日本大使館が890件となり、1048件のタイに続いて2位になった。

【波の泡よりも軽い日本人がフィリピンには多い】

 この援護件数というのは海外旅行中に居所が分からないから調べてくれという軽微なものから、現地で殺害される、強盗に遭ったなど凶悪犯罪も一緒くたになっている。

 この中で日本人が殺されるのはフィリピンが多く、2桁に迫るような年もあったが、最近は少ない傾向になっているものの、保険金狙いの手口という事件は相変わらず発生している。

 フィリピンの日本人絡みの事件で多いのは、深夜の道を歩いていて強盗や引ったくりに所持金や貴重品、バッグを奪われたなどが連日のようにあって、日本人はこの手の犯罪者の『カモ』になっている。

 その多くは本人の無防備、不注意から起きていて、深夜に道を歩くことなどフィリピン人でも警戒するのに、日本人は日本の深夜のコンビニでも行くような感覚で歩くから事件に遭うことが多い。

 以上は被害者になる日本人だが、逆に加害者、犯罪者になる日本人も少なくなく、最近立て続けに日本人が捕まる事件が起きた。最初の事件は7月16日、首都圏マカティ市の両替所にドルを持ち込んだ27歳の男が、両替所で偽ドルと見破られて通報され逮捕された。

 この日本人は泊まっていたホテルで何者かにドル札を安く買わないかと持ちかけられ、100ドル札10枚を購入。いくらで買ったかは不明だが、半値くらいなら誰でも手を出しそうな美味しい話で、それがまたミソになる。

 フィリピンは第2の通貨といわれるくらい、アメリカ在住の身内からドルが送金されていて、安くドルが買える話などいくら何でもありのフィリピンでもあり得ず、普通の頭を持っているなら、話を持ちかけた人間が街中にいくらでもある両替所で直接換金すれば良いと思うが、そこは騙す側が巧かったのであろう。

 両替所には必ず偽ドルを判断する判別機が置いてあって、この判別機はスーパーで売っているような品物だが効果はあるらしく、それだけドルの偽札が多い国にもなるのであろう。

 この事件にはおまけがあって、逮捕された27歳の友人と思われる48歳の日本人が警察を訪れ、係官に5万ペソ(約11万円)を渡してところ、賄賂が効かず逮捕されてしまった。

 フィリピンでは賄賂を渡して事件を揉み消してしまうことは珍しくなく、この47歳の日本人がどういう素性の人間なのか分からないが、フィリピンでは賄賂を渡せば何とかなると思う類に属しているのは確かである。

 次の事件は7月19日、セブ島であったもので、こちらは13歳の少女と同居していた71歳の日本人男が捕まった。逮捕容疑は児童虐待になるが、フィリピンは未成年者への犯罪は非常に重く、場合によっては終身刑が科せられる。

 71歳の日本人が住んでいたのはセブ市と反対側の西海岸にある人口は17万人を超すトレド市で、人口は多いというもののセブ島では田舎の町の一つで、この男がどういう伝手でトレド市に住みついたか不明だが、捜索された自宅ベッドルームにたたずむ男の様子の写真が一緒に居た少女と共に地元紙に掲載された。

 こういう未成年者を性の対象にフィリピンに住みつく男は珍しくなく、この間もセブ島でドイツ人が捕まっていて、これなど氷山の一角で、アメリカ、オーストラリアなど白人は特に多い。

 この手の男はフィリピンに限らず、タイやカンボジア、インドネシアなどで未成年女子を狙って入り込んでいることが多く、その取締りで各国は動いているらしいが、ほとんどは野放し状態。

 こういう未成年者の場合、その親も問題となるのだが、その多くは知らなかったと言い張るが、実は金目当てに男に娘を差し出している例も多く、その親も摘発されている。

 71歳の老人など日本では相手にされないだろうが、日本の10分の1程度の経済格差を持つ国なら、小さな金で思うようなことができ、以前から日本では年金で暮らせないからとフィリピンに単身移住してくる日本人など、この手の犯罪予備軍といって良い。

 それでも、こういう老齢の人がおとなしくフィリピンで暮らしている分には良いだろうが、どうしてもたがが外れてしまう日本人も多く、中には孤独死、自殺などもあり、後始末をさせられる関係者も迷惑この上ない。

 最後の事件は7月20日、マニラ首都圏ケソン市で日本へ就労させるといって日本語を教えていた『関西トレーニング・センター』で、日本人2人を含む8人が逮捕された。

 このセンターでは日本の介護士の仕事を斡旋するとして、フィリピン人を集めて日本語などを教え、日本への斡旋料として1人3万ペソを集めていたが、いつになっても仕事が紹介されず、不審に思った生徒の訴えで事件が明るみになり8人は違法就労斡旋の罪で逮捕された。

 逮捕された段階では容疑者であり普通は人権は守られるが、フィリピンでは容赦なく、この日本人を含む逮捕者8人は警察で名前の書いた紙を持って写された写真が実名と共に新聞に掲載された。

 この事件の背景だが、日本の慢性的な人手不足を理由に東南アジアなどから様々な名目で人材を入れているが、そのほとんどは日本人の嫌う低賃金職で使い捨て同然。

 特に技術研修生などと偽って国が進める政策など国際的にも批判を浴びているが、受入数は激増中で従来の3年期間を5年に延長するなど日本はやりたい放題。それでいて日本は移民を受け入れていないと公言するが、1年以上滞在すれば移民という国際定義があることなどお構いなし。

 今回摘発された違法就労だが、この手の事件はしょっちゅうあって、就労斡旋の名を借りた詐欺と見て良い。特に日本が介護やメイドで受け入れる枠を作ってからは、フィリピンに限らずヴェトナム、ラオス、カンボジアと東南アジアを中心に有象無象の一儲けしようとする人間が増えた。

 セブにも日本へ人を送る事業を起こす者が多く、中には真摯に取り組んでいる人もあるが、大多数は日本の福祉事業に寄与するなど綺麗ごとを言いながら一儲けを企んでいる日本人が多い。

 今回の摘発されたセンターも日本で『キャリーアップ』という日本の親会社があって、報道によるとセブにも関係する会社があり、このセブの会社はかつてフィリピン人2世を『新日系人』と呼んでNPOを作り支援活動をしていた日本人が関係していた。

 この日系人支援も結局は日本への就職斡旋で儲けるために作られたとの話もあり、かつてセブ日本人会長を務めた人物ながら『晩節を汚した』とまで批判されている。

 フィリピン人が貧困から抜け出すために日本へ出稼ぎに行くのはかつて水商売用では『じゃぱゆき』が主流であったが、これがゆくゆくは介護に変わりそうだが、フィリピン人を食い物にしている点では構造は全く同じである。


 

author:cebushima, category:フィリピン・よもやま帖 2018, 19:00
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フィリピン・よもやま帖 2018 その−(13) 2019年上院議員選挙立候補予定者の下馬評調査は

 フィリピンは3年毎に選挙があり、次は2019年5月に行われる。この選挙では2016年に行われた正副大統領選を除く上院、下院の国会議員、州や市、町の地方自治体首長、議員が入り混じって選挙戦が展開される。

【選挙となると国政自治体議員首長のポスターが入り乱れて張られる】
 

 買収や供応が当たり前のフィリピン選挙では、選挙のある年はGDP(国民総生産)をかなり押し上げていて、これを『選挙特需』というが、確かに選挙期間中の飲食店は普段見せない顔でかなり賑わう。

 

 フィリピンの国政議会の定員は上院が24人、下院は297人、その選出方法は上院が全国区で3年ごとに半数を改選し、任期は6年。下院は地方区選出が238人、政党リストによる選出が59人で任期は3年となっている。

 なお、連続して上院が2期12年、下院は3期9年と憲法で明記されているが、1期休めば再立候補は可能な有名無実の規定となっていて、このため延々と議員職や首長職を続けられる。

 前回選挙では6年任期、再選は禁止されている大統領選が行われ、ドゥテルテが泡沫候補から地滑り的な当選となったのは記憶に新しい。

 上院選は日本のかつての参議院全国区と同じ選出方法を取るが、早くも候補者に対する下馬評が飛び交い、その中で民間調査機関の『パルス・エイシア』が7月8日、候補予定者の支持率調査を発表した。

 それによると、1位の支持率を得たのは、捨て子という境遇ながら、大統領選に出てアロヨを追い詰めたことのある有名俳優の養女となり、前回大統領選に立候補し惨敗しながら再選を狙うグレース・ポー上院議員の67.4%となった。こういう境遇の人はドラマがあってフィリピン人に好まれるが、ただそれだけの人という辛い評価もある

 2位は新興ビジネス街のマニラ首都圏ダギッグ市を一族で牛耳る、ピア・カエタノが1期下院議員職を務めて返り咲きを狙い55.7%。弟はドゥテルテと組んで副大統領選に出たが惨敗し、その後外務長官職を得たが、姉弟で上院の議席を持っていたこともある。ただし、姉の方がはるかに頭も人物も優れている。

 3位はシンシア・ヴィリヤール(現)の50.1%。ヴィリヤールは安価な住宅開発販売で成功した不動産王で、ドゥテルテが出馬するまでは当選する勢いでありながら惨敗した上院議員の妻で、その夫の後釜に立ち当選した。

 4位はドゥテルテの長女でダヴァオ市長職を長年親子で独占するサラ・ドゥテルテの46.2%。フィリピンの上院議員選は芸能界並みの人気投票なので親の名前で、サラは立候補すれば当選濃厚。本人は中央政界に出る気はないといっているが、親のドゥテルテも大統領選に出ないといって散々マスコミを煽って出馬したから、それを見習う焼き直し作戦といわれている。

 5位はエドガルド・アンガラ(現)の41.9%。この人物は父親が著名な法律事務所を持つ弁護士で、上院議員職を長く務めたが引退。その後を引き継いでその親の名で前回は当選したが能力は並み。

 6位は3年置いて返り咲きを狙うジンゴイ・エストラダの37.9%。親は汚職で終身刑を受けながら恩赦を受けたエストラダ元大統領。この息子も汚職容疑で逮捕されやはり長期間、獄に繋がれたがようやく釈放された。元俳優で人気はあるが、親が親なら子も子という見本。

 フィリピンの政治家は逮捕されることは珍しくなく、何しろ大統領が逮捕されてしまうくらいの酷さだが、それでも獄中から立候補して堂々当選するというお国柄。罪状は汚職がほとんどだが、現職上院議員で逮捕されて現在も拘置中のデ・リマは薬物関与で逮捕されている。

 

 デ・リマはアキノ政権時の司法長官で、3年前の選挙で当選。反ドゥテルテとして知られるが、目の上のたんこぶと思ったドゥテルテ陣営から煙たがられたのか薬物関与で逮捕された。本人はでっち上げと主張しているが、運転手を愛人にしていたとか私生活が暴露されてボロボロ。しかし、男の議員は愛人を持っていても全く問題にされないと擁護する向きもあり、何でもありのフィリピンでは驚くことではない。

 7位はドゥテルテの腰巾着として知られ、一地方でしか過ぎない元ダヴァオ警察署長からドゥテルテに引き上げられて国家警察長官に抜擢され『薬物容疑者皆殺し作戦】を指揮。長官退任後も法務省高官に取り立てられているデラ・ロサの37.7%が入った。

 8位はアキリノ・ピメンテル(現)で37.7%。この人物の親は反マルコスの闘士として知られた元上院議員だが、やはり親の七光り組で、ドゥテルテ当選後はドゥテルテに引き上げられて上院議長になったが、あまりの無能力さで最近交代させられた。

 9位はナンシー・ビナイ(現)の37.1%。ビナイ一族はフィリピン一のビジネス街を持つマカティ市を牛耳り、元市長のビナイは副大統領に僅差でなり、大統領職への野望は満々であったが、前回大統領選では惨敗。その代わりに妻を上院に送り込むことに成功。

 10位はセルヒオ・オスメニャ(元)の36.6%。オスメニャはセブを牛耳る一族で、戦時中に選挙を経ない大統領を出したことが自慢で、セブでは泣く子も黙る一族であったが、近年はその威光も通じなくなり前回は落選。

 11位はリト・ラピドの36.2%。この人物はパンパンガ州の知事をしているが、やはり俳優出身で、3年置いて返り咲きを狙っている。このようにフィリピンは元や現の俳優が政治に出る例が目立つが、芸能界も政界も同じ『界』が付くようにそのレベルは同じ。

 

 12位はジョセフ・エヘルシト(現)の35.6%。この人物の親は元大統領のエストラダで6位のジンゴイとは異母弟。姓名が違うのは正妻の子どもではないためだが、フィリピンは妻か愛人の子どもかという区別は全く関係ない風土。

 

 13位はパオロ・アキノ(現)の32.1%。アキノ姓で分かるように親子で大統領を生んだアキノ一族に連なるが、ただそれだけの人物でアキノ家出身者は汚職に縁が薄いというのが売り物である。

 

 14位にアイミ―・マルコスの29.9%。マルコス姓で分かるように独裁者マルコスの長女で現在ルソン島北端のイロコス州知事を3期務める。4期目は出来ないために上院選に出るといわれているが、上院議員であった弟が前回副大統領選に出て落選し、無役のために弟が再び上院選に出るのではと見られ、去就は不明。

 

 この辺りの順位に付けていれば当選の可能性はあるが、以下の順位で目ぼしい候補者を拾ってみると、芸能人で2人、16位に人気俳優のロビン・パディラが28.2%、28位に歌手のフレディ―・アギラが9.3%で入るが、ロビンは薬物で捕まったことがあってもフィリピン人は寛大。

 

 18位に前回大統領選でドゥテルテに破れたマール・ロハスが27.1%で入る。ロハスは元大統領の孫、大財閥の御曹司と毛並みの良さはアキノ以上で、頭も良く政治経験も豊富だが、それが逆に嫌われて前々回アキノと組んだ副大統領選でも敗れた。かつて上院議員選ではトップ当選を果たしている。

 

 19位にボン・レビリア(前)が入る。ボンの父親は子どもを80人以上愛人に産ませたとして知られる俳優で元上院議員。ボン自身も有名な俳優で州知事経験もあるが、汚職で捕まり3年置いて次の上院選で返り咲きを狙うも、支持率は26.7%で少々苦しい。

 

 21位にギンゴナ・契い23.3%。ギンゴナの父親は元副大統領で毛並みは良いが、現職で前回上院選に落選し、復活を計っている。24位に元大統領のアロヨが10.8%で入る。アロヨは汚職で逮捕されても地元の下院議員を2期続けるが、かつて上院選でトップ当選した栄光が忘れず上院選に出そうだが10%台の支持率では恥を晒すのではないか。

 

 25位にドゥテルテの特別補佐官を務めるクリストファー・ゴー、30位に大統領補佐官のハリー・ロケ、47位に大統領府報道班補佐官のモカ・ウソンとドゥテルテの取り巻きが入るが、現段階では当選は難しく、ドゥテルテ陣営の身内で上院を固める作戦は不発気味。

 

 最後に選挙というのは一人一票が原則だが、フィリピンの選挙は定員一杯まで選べ、即ち上院選なら12人の名前が書ける。このため12人の名前を覚えるのは大変で党派がこの通り書いてとリストを投票所前で配っていた。

 

 しかし、今は電子投票式が取り入れられ、シートの名簿に印を付けるようになってこの面倒臭さは解消されたが、議員一人を選ぶ方式に変えないとおかしく、変えないのは12人も選んでくれるなら自分の名前を選んでくれると思う、候補者の助平根性の何物でもない。

 


 

author:cebushima, category:フィリピン・よもやま帖 2018, 18:36
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フィリピン・よもやま帖 2018 その−(12) 暗殺天国のフィリピンでゴルゴ13もどきの市長狙撃事件

 2016年6月の大統領選で、泡沫候補であったドゥテルテが『麻薬撲滅』1本の政策で劇的な当選を勝ち取って、それから3年目に入った。
 

【この町の町長も5月に襲撃されていて暗殺される怖れを抱いている】


 この麻薬撲滅政策は単純そのもので、警察力を使って容疑者を殺害する手法を使い、以来2年間で警察発表だけでも5000人近く、人権団体の調べではその3倍の15000人は殺害されたと見られている。

 当然、誤認やとばっちりで麻薬など関係ない者も殺害され、それを隠蔽するために警察が証拠品を捏造するなどでっち上げが横行し、処刑ともいわれるドゥテルテの手法は法体系を完全に無視していると、内外から強い批判を浴びている。

 しかしドゥテルテはどこ吹く風で殺害を進めていて、このように人間の命など屁とも思わない気質がフィリピンには底流にあって、何か問題があれば相手を消す、即ち『暗殺』することが当たり前になっている。

 特に政治的暗殺は頻発し、自治体の首長や議員が何者かに襲われて殺されるなど毎日のように新聞紙面を賑わすが、不思議と犯人は捕まらず、警察や軍と関係のある者が事件に関わっていると噂されている。

 7月2日午前8時10分頃、マニラ首都圏南部にあるバタンガス州タナウアン市(人口約18万人)で、同市長が市庁舎前で行われていた国旗掲揚中に狙撃され死亡する事件が発生し、同市長は左胸に1発撃たれ、病院に搬送されたが1時間後に死亡が確認された。

 

 通常、フィリピンで発生するこの手の暗殺事件は自動車に乗っている時に、オートバイに乗った殺し屋が窓越しに拳銃を発射して殺害する例がほとんどで、同市長の暗殺は160メートル離れた草むらから銃弾が放たれていて、まるで『ゴルゴ13』のような奇怪な事件となった。

 

 狙撃による暗殺事件として今も強く記憶に残るのは1963年11月22日、アメリカ・テキサス州ダラスであった『ケネディー暗殺事件』があり、この事件は色々怪しい点があって、いまだ真相は解明されていない。

 

 ケネディーを狙撃した人物は教科書会社ビル6階の窓から狙撃したとなっていて、車に乗って移動中のケネディーを狙撃したが、この時のケネディーまでの距離は70〜80メートルであり、3発を撃ったとされている。

 

 しかし、使われた銃がイタリア製の通信販売で買える代物で、いくら腕が優秀でも数秒間に動いている標的に向かって3発を撃ち、命中させることは不可能との見方もあり、こういったこともありケネディー暗殺事件の謎を呼んでいる。

 

 フィリピンの今回の市長暗殺事件は、動いていないとはいえ160メートルの距離、しかも1発で成功しているため、狙撃犯は専門的な訓練を受けている人物で、軍あるいは警察の現役もしくは退役者ではないかと見られている。

 

 使われた狙撃銃は発射された弾丸が発見されていないので断定されていないが、専門家筋では『スプリングフィールドM−14』もしくはその派生型で狙撃に優れた『M−21』ではないかと見られている。

 ヴェトナム戦争中に使われた主力銃のM−16はこの M−14を改良したものだが、M−16及びM−14はその後フィリピンなどの友好国の軍に払い下げられた経緯があり、これらの銃はフィリピン国軍から横流しなどがされてかなりの数が国内に出回っている。

 さて、暗殺された市長だが、麻薬容疑者抹殺政策にも積極的でドゥテルテの強い支持者として知られ、捕えた容疑者を市内の道路に見せしめのために歩かせたくらいだが、実は裏では麻薬に関与していると噂され、ドゥテルテも麻薬関与者として名前を挙げている。

 

 ドゥテルテが大統領に就任してから、麻薬に関与する首長や議員などを実名で公表したことは知られるが、そのくらいフィリピンには有力者と称する人物が、麻薬に関係しているのは珍しくないが、公表されてもこういう悪党は面の皮が厚いのはどこの国でも共通で、のうのうとしているのが実態。

 

 そのためミンダナオ島やレイテ島で市長や町長が相次いで襲撃、殺害され、どこまで本当か定かではないが、ドゥテルテの命を受けた暗殺部隊が動いたのではないかともいわれている。

 

 ただし、暗殺を実行するのはドゥテルテの意を汲んだ組織だけではなく、麻薬シンジケートが口封じのために殺害しているという見方もあって、その辺りの事情は双方が都合の良い情報を流していて、真相は全く分からない。

 

 セブ島でもドゥテルテから麻薬関与者と名指しされた首長がいて、この人物はセブ島最北の町の町長で町長になる前は国家警察の高級幹部というから驚かされるが、2016年選挙では7票差で当選。

 

 この選挙では現職町長を破っているが、この現職はその前の選挙で現職を破っていて、その落選した現職が麻薬関与者と名指しされた現町長の妻で、この妻の息子は州会議員をやっていて、フィリピン中どこでもある公職の独占がこんな最北の町にも蔓延。

 

 いくら麻薬関与者と名指しされていても、シラを切っていれば済んでしまうフィリピンだが、とうとうこのセブ島最北の町の町長にも暗殺の手が伸びた。

 

 事件は5月にあって、この町長一行が近くの島に行った帰りに港でオートバイに乗った暗殺犯に狙われ襲撃を受け、町長は被弾はしたが命に別状なく、息子やメイド、港で荷物を運んでいた人がとばっちりで怪我をした。

 

 この襲撃は伝統的なオートバイで接近する方法であったが、7月2日の暗殺事件では長距離からの狙撃という方法が取られ、身辺近くを武装したボディーガードで固めても効果がないことが分かり、麻薬関与者達は戦々恐々であることは間違いない。

 

 このような襲撃事件が発生するのは、フィリピンがアメリカ並みに銃器が野放しになっていることから来ていて、麻薬、銃器とフィリピンは問題を抱え、これらが解決できるのかどうか貧困問題と同様で難しいのが現実である。

 


 

author:cebushima, category:フィリピン・よもやま帖 2018, 18:48
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