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ルソン島紀行 イロコス篇 その(32) 最終回 マニラ空港からセブへ飛び立つ

 長々と書き連ねたこの拙文も今回が最後になる。今回の旅は欲張った行程でルソン島北部を回ったが、2度と行きたくないという観光地の多い中、またこの地方へ行って見たいという気持ちを持った。

【写真−1 近年は国内便の安売り合戦になって空の利用客は急増

 写真−1はマニラ国際空港第4ターミナル内の待合室の様子で、かなり込み合っている。第4ターミナルなどというともっともらしいが、ここはマニラ空港に国際線専用と国内線専用のターミナルに分かれた古い時代の2つあった中の国内用ターミナルであった。

 その後マニラ空港は第2ターミナルを造り、そちらはなぜかフィリピン航空の専用ターミナルになっている。次いで第3ターミナルを造り、そちらはフィリピン航空とフィリピンの航空業界を2分する後発のセブ・パシフィック航空が主に使っている。

 その後、写真のターミナルはしばらく貨物用に使われていたが、近年、低価格航空がフィリピンに乗り入れるようになり、その低価格航空用に提供したのが第4ターミナルになる。

 かつて国内線で使った事があり、その当時は倉庫のような建物であったが、今回はそれなりに整備されている。しかし、ここから他のターミナルへ移動するには相変わらず不便、不親切でマニラ空港は『世界一最悪』の空港と冠されていて、改善される様子はない。

【写真−2 慢性的に定時に出発できないエアアジア】

 写真−2は今回利用したエアアジア機。エアアジア航空はマレイシア発の低価格航空で、クアラルンプールに専用ターミナルを持つほどの急成長した航空会社で、なぜかセブ−フィリピン間のような他国のドル箱ローカル路線まで参入している。

 利用者としては航空会社間の価格競争があって嬉しいが、エアアジアは保有機材の使い回しに無理があるのか、定時出発のできない航空会社でもあり、利用する度にまともに出発できず遅れている。

 それでも、かつては私などタイのバンコク経由で旅程を組んでいた空の旅が、今やエアアジア利用のクアラルンプール経由となってしまったから、エアアジア商売の目の付け所は優れている。

【写真−3 目を凝らせば1983年8月21日のアキノ暗殺現場が見えるかも知れない】

 写真−3は私にとってはかなり珍しい写真で、マニラ空港が眼下に写っている。しかも国際線の第1ターミナルと第2ターミナルの全景と第3ターミナルの部分が写っている。

 この写真で分かるようにマニラ空港には滑走路が2本あって、私の乗ったエアアジア機は眼下の滑走路を交差するように離陸している。

 後から2本目の滑走路を増設したが、敷地から交差せざるを得なかったのだが、写真下の離陸待機走路には既に飛行機が走行中であるし、もし管制の不手際でそれぞれの滑走路から飛び立った機同士が衝突する危険性を孕んでいる。

 現在、増加する乗客需要に対応しきれず、新たな空港を造る考えも示されていて、写真の右前方に光るのはマニラ湾だが、その左手方面の海面を埋め立てる案が浮上している。

 このマニラ空港は既に市街地に囲まれて拡張も出来ず、いずれ空港としては危険になるので、そういったプロジェクトは進めて欲しいが、遠方に立地されると成田の例ではないが、超不便になる。

 また新空港間と市街地へのアクセスは当然一体になってプランされて当たり前なのに、現マニラ空港のようにアクセスはタクシーのみでぼったくりが横行するような未来図であったら願い下げである。

 飛び立ったセブ行きの便はラグーナ湖上空を通過しセブへの針路を取り、時間通りに無事にセブに到着した。

 【了】


 

author:cebushima, category:ルソン島紀行 イロコス篇, 19:00
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ルソン島紀行 イロコス篇 その(31) マニラ逍遥−11 イントラムロス内の由緒ある教会

【写真−1 車が目障り】

 

 フィリピンの世界遺産で最初に登録されたのは『バロック様式の教会群』があり、1993年に登録された。教会群と言うように4つあって、3つはルソン島、1つはフィリピン中部のパナイ島にある。

 パナイ島は『ミアガオ教会』といって、この教会は拙稿の『パナイ島ぶらり旅2015』にあるように2015年の12月に訪れた。

 今回のルソン島紀行ではイロコスにある世界遺産『パウアイ教会』を訪れたが、実はイロコスにはもう1つ登録された『サン・オゥガスティン教会』があって、こちらは街並みが世界遺産に登録されたヴィガン市の南方のサンタマリアという町にある。

 マニラから夜行バスでヴィガンを目指した時に、近くを通り過ぎているがこの教会の存在を知ったのは旅を終えてからで、わざわざ行くには大変で残念と言う気もするが仕方がない。

 写真−1はその世界遺産4つの内の1つになるイントラムロスにある『サン・オゥガスティン教会』で16世紀建立。この教会も旅を終えて写真を見て気が付き由緒ある教会と知った訳で、信者でもないから登録された教会への関心はその程度という具合である。

 それにしてもユネスコが登録する世界遺産は今や観光案内的な面が強くなっているのは確かである。写真のサン・オゥガスティン教会、中に入らず残念なことをした。

【写真−2 何だか暇そうな人の多い区域】

 写真−2はマニラ大聖堂の正面で、前には公園が広がる。大聖堂は横から見た方が堂々としていて、奥行きも深い。この建物もマニラ市街戦でかなり破壊されて、復元修復している。

 フィリピンはカトリック信者が8000万人以上もいる国でアジアでは最大になる。そのため過去にローマ法王は4回この国を訪れていて、特にジョン・パウロ2世はマルコス時代の1981年、ラモス時代の1995年、2度訪れていて、このマニラ聖堂でミサを行い、それを記念した銘板が正面に麗々しく掲げられている。

【写真−3 カトリック信者で寄付をすれば式は可能】

 写真−3はその聖堂内の様子で外観からは意外に小さい感じを受けるが、この日は結婚式が行われるのか花で飾られていた。

 この教会に入って一番驚いたのは中はエアコン完備で、私もフィリピンで数多くの教会内に入っているが、この大聖堂のように完全空調教会というのは初めてであった。


 

 

 

author:cebushima, category:ルソン島紀行 イロコス篇, 11:28
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ルソン島紀行 イロコス篇 その(30) マニラ逍遥−10 イントラムロスを訪ねサンチャゴ要塞へ

 フィリピンの首都はマニラと思っている人は多いが、私の記憶では首都はケソン市とあったが、いま改めて調べたらやはりケソン市はフィリピンの首都であった。

 ただし、ケソン市が首都であったのは1948
年から1976
年までで、この時の大統領は独裁者マルコスであったから、簡単に首都を代えられたのであろう。独裁者の時代というのは首都などご都合で代えることが多く、ミャンマーなどその典型的な例で、国名と首都名の変更はおろか、首都も移転した。

【写真−1 イントラムロス内には大学など教育施設も多い】

 現在の首都マニラの一角に『イントラムロス』という地区があって、かつてのスペイン植民地時代の面影が残っている場所の観光地として名高い。写真−1がそのイントラムロスへ入る入り口で、これで分かるようにこの地域は城壁で囲まれている。

 この地域は1600年代初め頃に完成しているが、内部にスペイン植民地関係機関やカトリック教会、その付属の学校などがあり、スペイン人が居住していた。今はマニラ市の一つの行政区になっているが、いわばマニラ発祥の地であり古い教会や建物が残っている。

 しかし、現存する建物は1945年2月の日本軍と連合軍との間で繰り広げられた無意味な『マニラ市街戦』でほとんどが破壊されていて、復元、修復された建造物である。

【写真−2 日影のないのが欠点だが散歩には最適】

 写真−2はイントラムロス内にあるこちらも観光名所で有名な『サンチャゴ要塞』の外壁上の舗道。綺麗に石が敷き詰められて、この上をスペイン人兵士が歩いたのかと古を偲ぶような気持になるが、この上は無料でも要塞へは入場料を払って入る。

 サンチャゴ要塞にはホセ・リサールがスペイン植民地政府によって幽閉され、1896年12月30日、すぐそばの現在の公園で銃殺されたが、この日はフィリピンの祝日にもなり、中にはその記念館もある。

【写真−3 木々の向こう側にはマニラ湾が近い】

 写真−3は何かの建物だが、いかにも兵舎というか監房といった趣の建物。近くには草地のゴルフ場が見えてその対比に目を瞠る。

 その昔、要塞内には一度入ったことがあって、その記念館へ入ったような記憶を持つが、覚えているのはカレッサ(馬車)に乗れ乗れと五月蠅かった連中のみで、もちろんぼったくられるのは分かっているから相手にしなかったが、今もこの連中は要注意らしい。

 この要塞には戦時中に日本軍憲兵隊本部の置かれた場所で、この連中はフィリピンに限らずどこでも相当の悪行を残していて、サンチャゴ要塞の近くの川から満潮時に水が入ってくる『水牢』は有名。

 憲兵というのは軍隊内の警察だが、戦前の特高警察と同じでこれが今の警察の公安組織に繋がって行くが、長くなるので止める。この連中、戦犯に問われた者も多いが逆に巧く逃げおおせた憲兵出身の人物も多い。

 


 

author:cebushima, category:ルソン島紀行 イロコス篇, 19:52
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