RSS | ATOM | SEARCH
日本一周各駅停車乗り継ぎ旅 2023 その−146 【13日目−11 米子空港駅−中浜駅−境港駅】 どこまでも平らな弓ヶ浜半島を抜けて終点の『境港駅』に到着

 山陰地方というと中国山地を越えた日本海側の険しい地形の地域のイメージを持つが、境線の『米子駅』から終点の『境港駅』までは平らな土地が続く。

 

【写真−1 左手彼方に米子空港管制塔と航空自衛隊の施設が見える】

 

 この平らな土地は『弓ヶ浜半島』と呼ばれ、米子市の島根県境に近い皆生温泉方面から境港に向かって幅4キロ、全長17キロ伸びて境港市の境水道まで至り、主に砂州で生じた土地だが灌漑と埋め立ても多く行われている。

 

 そういった平らな土地は米子側には水田耕作、半島に向かって畑作となって『米子白葱』生産が盛んだが、遮蔽する山がないので飛行場立地には最適で、戦時中の1939(昭和14)年から海軍の手によって飛行場建設が始まった。

 

 1943(昭和18)年に『美保海軍航空隊』が置かれ、当時の戦局は大量の航空機搭乗員養成が急がれ、その年の予科練甲飛13期生は3000人もの大量採用で松山、奈良と共に美保は予科練訓練地としての歴史を持つ。

 

【写真−2 日本の地方空港の前身は旧陸海軍基地を転用したのが多い】

 

 境線半ばに写真−2の『米子空港駅』があり、同駅は1902(明治35)年当時は所在地名の『大篠津駅』と名乗っていて、戦時中は予科練の駅として全国的に有名な駅であったが、2008(平成20)年の空港拡張によって線路が付け替えられ駅は境港市内に移転し駅名も『米子空港駅』となり、愛称は『べとべと駅』。

 

 駅から道を挟んで空港ターミナルまで徒歩5分と、鉄道駅の中でも空港に至近の駅で知られ同空港は『米子鬼太郎空港』と名乗っているが、航空自衛隊が管制業務をする軍民共用空港の自衛隊主体の『航空自衛隊美保基地』であり、海上保安庁も航空基地を設けている。

 

 同空港は海に少し突き出た2500m滑走路1本、国内便は羽田行きのみだが全日空が1日往復6便も飛ばし、ソウルに1日1便、コロナ災厄以前は上海、香港へも飛んでいた国際線航路を持つ。

 

【写真−3 道路から数段上がった所に線路とホームがあるだけの駅】

 

 『米子空港駅』の次が写真−3の『中浜駅』で、同駅も空港拡張で境港市側に100m近く移動しているが、新しい『米子空港駅』が設置されるまではこの駅が空港に最も近い駅であった。

 

 同駅のホームは2面2線となっていて、今は行っていないが同駅から『米子駅』方面へ折り返すことも可能となっている無人駅だが、1日の利用者は100人を大きく切り、愛称は『牛鬼駅』。

 

【写真−4 観光シーズンにはごった返すホーム】

 

 『米子駅』を11:37に出た『鬼太郎列車』は12:22に写真−4の『境港駅』ホームに到着し、写真でも分かるように平日にも関わらず『水木しげる』の世界を訪れた観光客がバラバラと降りた。

 

 同駅は1902(明治42)年に開業した古い駅だが、開業時は『境駅』と名乗り1919(大正8)年に現駅名に改称したが、開業時の駅は今の駅の位置から東方向にあって、愛称は『鬼太郎駅』。

 

【写真−5 左側の駅前ロータリー周りに妖怪の像が沢山見える】

 

 写真−5は『境港駅』駅舎側から米子方面を見た様子だが、同駅が境線の終点であるように車止めが見え、乗車した鬼太郎列車は10分の停車後12:32に『米子駅』へ向けて折り返す。

 

 境線の『米子駅』発『境港駅』行きは、5:14の始発から22:37までの最終まで1日17本運行と地方線にしては多い運行本数で、反対の『境港』始発『米子駅』行きは5:33の始発から最終22:25まで17本ある。

 

【写真−6 駅舎の上に灯台を乗せているように駅舎裏は港に面する】

 

 写真−6の灯台を乗せている『境港駅』は1995(平成7)年に新しく建て替えられたもので、右側のビル内に隠岐の島へ行く乗船券売り場とフェリー乗船口が繋がっていて、隠岐の島行きのフェリー出港時刻は14:25なので2時間ほど待ち時間が生じた。

 

 その時間を利用して適当な所で昼食と境港市の観光資源の『水木しげるロード』を歩くが、駅舎を出た所から『ゲゲゲの鬼太郎』に因む妖怪の像や、水木しげるの顕彰碑などが道路上にあり、その手の物が好きなマニアには良いだろうが、何だこれはという感じで特に注目する気はない。

 


 

author:cebushima, category:日本一周各駅停車乗り継ぎ旅 2023, 18:47
-, -, pookmark
日本一周各駅停車乗り継ぎ旅 2023 その−145 【13日目−10 米子駅−富士見町駅−三本松口駅】 『鬼太郎』列車に乗って終点の『境港駅』へ

 日本海にある隠岐の島へ渡るために『米子駅』から出る境線終点の『境港駅』へ行き、同港から出るフェリーに乗船するが、境線と境港市は同市ゆかりの漫画家『水木しげる』を観光資源として活用している。

 

【写真−1 こういうのが好きな人には堪らないワンマン車両】

 

 『米子駅』0番線ホームに待ち構えていたのが写真−1の『境港駅』行き各駅停車列車で、後部車両の前面右側に『目玉おやじ列車』と記され、湯船に入る目玉おやじのイラストが描かれているのが最初に目に入る。

 

 1902(明治35)年に現在の山陰本線の『米子駅』−『御来屋駅』が敷かれた時に『米子駅』−『境駅(現境港駅)』間も敷かれ、山陰地方における最初の鉄道路線の歴史を持つ。

 

【写真−2 シーズンになればかなりの混雑になるという】

 

 境線では『ゲゲゲの鬼太郎』に因んだイラスト列車を1993(平成5)年に始まり、意外にも初代は『ねこ娘』からで、現在運行しているのは『こなき爺(2代目)』、『砂かけ婆(2代目)』、『ねずみ男(3代目)』、『ねこ娘(3代目)』、『目玉おやじ(3代目)』、『鬼太郎(5代目)』の6種類が運行中で、使用車種は『キハ−40系気動車』。

 

 写真−2は『目玉おやじ車両』内部の様子で、座席の背あてに目玉おやじのシールが貼られ、背あての下部には『PHOTO SPOT』と描かれ目玉おやじのイラスト部分に手を添えて写真を撮るように指示されていて、この手のファンには嬉しいようだ。

 

【写真−3 こういうイラストをバックに写真を撮る人が多い】

 

 列車は2両編成で運行されていて、写真−3は『目玉おやじ車両』に連結されている車両で『ねずみ男』のイラストが目立つが、前面右上に黒字で『鬼太郎列車』と記されているので5代目の新しい車両と思われる。

 

 『鬼太郎列車』は何度もイラストが交換されているので、過去の車両と紛らわしいが先述したように現在は6種類が運行されているが、どの車両がどうとかまでは興味はないので、この車両には立ち入らなかった。

 

【写真−4 他の車両天井にも別のイラストが描かれているだろうか】

 

 写真−4は座った『目玉おやじ』車両の天井に描かれている『目玉おやじ』の大きなイラストで、小さなこどもなら怖がるような迫力があり、同車両にはエアコン設備はあるが、天井に扇風機や蛍光灯が直付けで残されているのは何かの意図があるのであろうか。

 

 この『目玉おやじ』水木しげるが生み出した妖怪で、『鬼太郎』の父親として左目にあり、身長9.5センチ、体重33.25グラムあって、写真−1の前面に描かれているよう『茶碗風呂』が趣味になっていて、想像上のキャラクターのために色々細かく奔放に設定されている。

 

【写真−5 この町から大山(別名伯耆富士)を望めたのが駅名の由来】

 

 『米子駅』から2つ目の駅が写真−5の『富士見町駅』で、駅名の下に『後藤総合車両所 最寄り駅』と記されているように、同駅から線路に沿ってJR西の車両基地と車両工場があり、そのために気動車を走らせている非電化の境線だが電車を車両基地に入れるために『米子駅』から次の『後藤駅』までは電化されている。

 

 境線の各駅には『ゲゲゲの鬼太郎』に出て来る妖怪に因んだ愛称が付けられていて、同駅は『ざしきわらし』になり、『米子駅』寄りの『博労町駅』と『富士見町駅』間の実質距離は420mで、これはJRの駅では駅間距離最短となっている。

 

【写真−6 米子市内の住宅地で線路にかなり近い】

 

 写真−6は『米子駅』から4つ目の『三本松口駅』で、写真でも分かるようにこの辺りの沿線は住宅が迫っていて、JR路線というより路面電車の路線のように見えるが、境線は山陰でも鉄道路線嚆矢の路線でそのために駅間は離れていたが、1987(昭和62)年にJR西はこの駅を含めて境線に多くの新駅を誕生させ、同駅の愛称は『そでひき小僧駅』。

 

 先述した『富士見町駅』と『三本松口駅』の間に『後藤駅』があり、同駅は1902(明治35)年に開設された古い駅で、1926(大正15/昭和元)年から1938(昭和12)年までは『米子駅』から『皆生温泉』を結んでいた路面電車が駅前を走っていた。

 

 駅名の由来の『後藤』というのは、山陰本線と境線の鉄道敷設に最大の功労者であった米子の豪商、政治家の『後藤快五郎』の名前を取ったもので、同駅の愛称は『どろたぼう駅』。

 


 

author:cebushima, category:日本一周各駅停車乗り継ぎ旅 2023, 19:37
-, -, pookmark
日本一周各駅停車乗り継ぎ旅 2023 その−144 【13日目−9 荒島駅−米子駅】 境線終点の『境港駅』へ行くために米子駅で乗り換え

 今回の旅は西日本、四国、九州の海岸沿いに敷かれている鉄道を利用して廻っているが、日本海側にはいくつも島がありこの機会に渡ってみようと調べ、距離や便利さから『隠岐の島』へ行くことにし、フェリーの出る『境港駅』を目指す

 

【写真−1 古代の安来地域は出雲王朝の神聖な場所であった】

 

 写真−1の『荒島駅』は既に鳥取県県境の安来市にあり、同市は滑稽な泥鰌すくいの民謡『安来節』で知られるが、出雲神話の豊富な地域で、古来より朝鮮半島との交易も盛んで、特に和銅や和鉄の生産地として歴史に名を残す。

 

 同駅は中海に近い平凡な山陰本線の無人駅だが、1928(昭和3)年開通の一畑電気鉄道『広瀬線』の起点駅で、内陸部の広瀬町まで7駅、8.3キロの路線であったが、1960(昭和30)年に廃線となった。

 

【写真−2 米子市は鳥取県内人口2位の14万4千人を擁する】

 

 10:01に『出雲市駅』を出た各駅停車列車は11:14に写真−2の『米子駅』に到着し、同駅で境線に乗り換えるが境線終点の『境港駅』行きは11:37なので、乗り換え時間に余裕はある。

 

 2019年の『ジャパンレイルパス』の旅で、『米子駅』に特急で到着した時に車窓から立ち食いそば屋がホーム上に見え、『吾左衛門そば』という看板の店は食べてみたいと思ったが、乗り換え時間が中途半端なので今回も見送った。

 

 

 『米子駅』は鳥取県内では『鳥取駅』に次ぐ数を誇り、山陰本線と境線の起点駅であるが、岡山方面に向かう伯備線の離発着駅ともなっていて、県内では最もホームの多い駅でもあるが、2023(令和5)年に竣工した新しい駅舎は橋上から地上のホームへ降りるようになっている。

 

 戦前には駅前から路面電車が皆生温泉方面へ敷かれ、1924(大正13)年から1967(昭和42)年まで『米子駅』から徒歩で10分ほどの場所にあった『米子市駅』から法勝寺電鉄線が運行されていた。

 

 法勝寺電鉄戦は11駅、12.4キロの本線と5駅5.5キロの支線があり、同路線で使われていた電車が保存されていて、特に1887(明治20)年にイギリスで製造された『フ−50形客車』は国内に現存する木造鉄道車両として文化財級の価値がある。

 

【写真−3 人口に比例して山陰本線で利用客の多い直営駅】

 

 『境港駅』へ行く境線に乗り換えるために跨線橋を渡るが、ホームから写真−3の薄紫色の車両が見え、これは『出雲市駅』−『岡山駅』間を走る特急『スーパーやくも13号』で10:30に『出雲市駅』を出て、『米子駅』は11:23に、最終目的地の『岡山駅』には13:38に到着する。

 

 『出雲市駅』から乗った各駅停車列車は途中で追い抜かれているが記憶にはなく、この『スーパーやくも』は1日上下往復10本が運行されていて、山陰地方と瀬戸内海側を結ぶ主要な特急となっている。

 

【写真−4 車両の色は明るくて悪くはないが微妙な感じもする】

 

 写真−4は『スーパーやくも』の後尾側だが、この薄紫色に塗られた車両は『国鉄381系電車』で、国鉄という言葉が入っているように1973(昭和48)年から1982(昭和58)年まで277両が製造された。

 

 同車両の特徴は山間部のカーブの強い路線を走るように振り子の原理を採用して安定を図っていることで、各地で走るがクリーム色の地に窓を挟んで赤い帯が引かれている姿は国鉄特急として馴染み深いが、『米子駅』に停車中の車両はまた別の色になっている。

 

 この薄紫色はかつて走っていた『特急やくも』の色を復刻したもので、同色の車両にはパノラマ車両の『スーパーやくも』があり、写真の車両は運転席が屋根に突き出た昔からのデザインで、2019年の『ジャパンレイルパス』の旅に『岡山駅』から『松江駅』まで乗車したのはこの色の車両ではなかった。

 

【写真−5 右側の階段に『ねずみ男駅』のイラストが】

 

 跨線橋を渡って降りた境線のホームは写真−5で分かるように0番線で、ホームの右側が1番線なので0番線になったのだが、0番線ホームというのは珍しくなく日本には40駅ほどあり、東京でも日暮里駅と綾瀬駅に0番ホームがある。

 

 駅のホーム番号の付け方は駅舎に近い方から1番線と名付けるのが基本で、それが何かの事情で駅舎側にホームが必要になった時に0番線と付けるようで、確かに『米子駅』0番線は駅舎に近く、同駅では『霊番のりば』と称している。

 

【写真−6 この手の物が好きな人間には堪らないだろうな】

 

 境線の終着駅『境港駅』のある境港市は漫画家の『水木しげる』の出身地で、そのために境線は代表作の『ゲゲゲの鬼太郎』を観光資源にしていて、ホーム上には写真−6の『妖怪の国へようこそ』と記された幟を持った鬼太郎と目玉おやじの像が置かれている。

 

 この他に同駅には木彫りの『ねずみ男』の像が置かれているらしいが、そこまでは関心はないので探す気はなく、ゼロ番線ホームに停まっている11:37発『境港駅』行きに各駅停車列車に乗車するが、『ゲゲゲの鬼太郎列車』と名付けられているように外装から内装まで『ゲゲゲの鬼太郎』に因んだ意匠が施されている。

 


 

author:cebushima, category:日本一周各駅停車乗り継ぎ旅 2023, 23:17
-, -, pookmark